「友だちがたくさんいれば幸せな人生を送れる?」と疑問を感じているあなたは必読。
菅野仁著『友だち幻想人と人の“つながり”を考える 』(ちくまプリマー新書)の読書感想です。
この本について
人間関係について考える本。
「友だち100人できたなら」という歌のように、日本人は人間関係を重視する国民性がありますが、人間関係は良いところだけでなく、面倒なことも。
この本では、人間関係で疲れないための知っておきたい人間関係の考え方が学べる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
日本人と友だち信仰(P11)
調査によると、日本人の高校生は友だちを作ること、友人重視の傾向が外国に比べて高い。
日本人の若者は、友だちを価値基準にしている傾向がある一方、友人との関係に悩む人が多い。
承認と無視(P36)
人間関係は「あなたはOKですよ」と相手の存在を承認することが基本。
だから、無視することは存在を認められないことであり、相手に対する大きなダメージとなる。
「みんな仲良く」なんてそもそも無理(P45)
人間関係は楽しく、誰とも上手くやっていければいいが、実際はそんなことは無理。
合う人、合わない人がいて、全て円満な人間関係などあり得ない。人間関係に幻想を持たない。
好ましくない人とどう付き合うか(P70)
集団の中には、どうしても合わない人、イヤな人がいる。
そういう人とはいちいち対峙せず、傷つけ合わず共存する付き合い方を意識する。付かず離れず、面倒にならない距離感を会得する。
いてもいないように振る舞う、空気のように意識するなど、ストレスならないよう、工夫する。
ルール関係とフィーリング関係(P80)
人間関係には、ルールを基本とした関係と、感覚を基本とした関係がある。
前者は学校や会社など、ルールを共有、守ることが大切な人間関係で、後者は気が合うなど、友人同士の関係。
人付き合いでも、ルール関係かフィリーング関係かで関わり方が変わってくる。
組織でいじめを許してはいけない理由(P89)
いじめが起こると、皆「次は私が狙われるかも」と組織内の疑心暗鬼を招く。
集団の雰囲気が悪くなり、みんなの居心地の悪くなる。だからこそ、集団の秩序を守るため、いじめは絶対に看過してはならない。
人はやっぱり他者(P129)
誰かと出会い「好き好き好き」の状態になっているときは楽しいが、熱に浮かされている状態。
そのときは、「この人は理想の人だ、私の全てを受け入れてくれる存在だ!!!」と酔っているが、「自分の全てを受け入れてくれる人」など、この世には存在しない。
人は、どんなに仲良くなっても他者。自分のことを全て分かってもらえる、受け入れてもらえるなど考えない方がいい。
感想など
リアルで現実的な人間関係論。
私達は、「自分を分かってくれる、誰とでも分かり合える!」と友人関係や人間関係に期待や希望を持ちがちですが、現実は人間関係の難しさに悩むことがほとんど。
人とは他者であって、「分かって欲しい、理解して欲しい」と期待すること自体が間違っていて、分かり合えないところがあるからこそ、人間関係を上手くする工夫が必要、そんなものなのかもしれません。
まぁ、生きていればいろんな人と出会います。
濃い関係、いつも近くにいる関係は、案外疲れ、傷つけあう関係になりがち。付かず離れず、ほどほどな方が、人に期待しない分、まったりでき、長続きします。
そんな感じで、縁のある人、縁が続く人と、細く長く、上手くやっていければ、それが一番気楽かもしれません。