人生に奇跡はなし。堅実、着実に進むのみ。
本多静六著『人生計画の立て方』(実業之日本社)の読書感想です。
内容など
『私の財産告白』で有名な蓄財の神様、本多静六博士の人生計画考察書です。
本多静六博士と言えば、無一文、貧乏生活から這い上がり、莫大な財産を作りながら、その財産を惜しみなく慈善事業に寄付した明治生まれの偉大な日本人。
本書では、本多静六博士の人生観、生きていく上で大切な人生計画の立て方について述べられています。
以下、本書の気になった内容の要約です。
人間と計画について(23)
「人間は計画をする生き物だ。だからこそ、良い人生を送ろうと願うのであれば、まずは人生計画を立てることが大切。その人生計画は、日常生活に根ざした、現実的な計画であらねばならない」
計画は自由の使徒(P28)
「計画を立てるというと、自由な行動、人生の自由を縛るもののように思われるが、実際は違う。むしろ人生を充実させるものである」
人生計画の重要な5つの要素について(P65)
1・正しい人生観を持つこと。
2・明るい希望を持つこと。
3・計画を立てるなら壮大に。そして、現在の実力と環境に応じて、着実に行動を起こしていくこと。
4・人生計画は長期性を持つこと。あせらず、コツコツと努力を重ねて実現を目指していく。
5・時代の潮流を読み取り、自分の計画の足をそろえること。人の人生は、その時代に影響を受ける。
凡人も非凡なことが実現できる(P69)
どんな凡人も、日々精進、計画を着実に実行していけば、やがては非凡なことも実現できる。
5年10年、努力を重ねていけば、やがては凡人が非凡の人に化けるときが来る。
人生計画を実行するために大切な精神的態度について(P70)
計画は実行すること。
考えて計画をしたことを、実際に行動に移してみれば、その真価が分かる。人生計画を実行していく上で、次の9つの心得が大切。
1・心を快活に。明るい希望、ニコニコと温和な態度を保っていれば、周囲の人から支援されやすい。イヤなことも、グジグジと悩まず、明るい気持ちを持つこと。
2・自分の仕事に打ち込むこと。職業選択するまでは、あれこれ迷うのも良いが、一度「コレだ!」と決めた仕事は頑張ること。集中して仕事に打ち込むことで、仕事を道楽にでき、成功しやすくなる。
3・功績は人と譲りあう惜福の心を持つこと。「オレ、オレ、オレ!」と自己主張しすぎず、縁の下の力持ちに徹する。
4・物事に白黒をつけすぎない。世の中は灰色、明確に善悪を判断できないことがたくさんある。アレコレけじめをつけすぎると、周囲に余計な軋轢を生む原因になる。
5・本業に支障がでない範囲において、やってきたチャンスは挑戦してみる。ただし、あくまで本業第一。
6・お金に余裕を持て。収入のうち、いくらかは、毎月必ず貯金しておく。(本書では収入の4分の1の貯蓄を推奨。)
7・人から恩を受けたら、必ず返す。誰かから温情を受けたときは、それをこまめに返し、借りをなくしておく。忘恩の輩になってはいけない。(恩を仇で返すのは論外。)
8・やるべきことをきちんとしているなら、人事を尽くして天命を待つ。物事には時節というものがある。何事もタイミングがあるので、焦ってはいけない。
9・原則、人とお金の貸し借りをしてはいけない。たとえそれがあなたにとって大切で重要な人であっても。お金の貸し借りは危険なもの。貸した方、借りた方、両方を傷つける。
学んだことは実践する(P102)
学ぶことは知ること。知ることは行うこと。学びは実践によって完結する。
人生は登山のように考える(P114)
人生には近道や裏道、人よりも楽に道を進めるように思える道がある。しかし、そういう道はえてして落とし穴や罠が多い。用心すべし。
勤勉貯蓄が人生の基本(P147)
人生の基盤は、勤勉に働き、お金をしっかり管理すること。
お金なしに壮大な夢を語るのは滑稽だ。まずは、まじめに働き、収入をコントロールする。無駄遣いせず、しっかりお金を貯める。経済的独立なしに精神的自由なし。
感想など
「人生にそうそう美味しいことなんてないのだから、人生計画をきちんと立て、コツコツ頑張っていきなさい」
という現実第一主義の自己啓発書です。
この本を初めて読んだのは2009年末のこと。
当時の私はフリーランスとしてようやく収入面で安定してきた時期でしたが、それでも将来のことを考え、アレコレと不安に思っていました。
そんなとき、本多静六博士の『私の財産告白』を読み、博士の哲学に感銘。博士の他の本をAmazonで探して、購入したのが『人生計画の立て方』です。
私もこの本を読んで感銘を受け、自分なりの人生計画をアレコレ考え、今日に至ります。
久しぶりに読み返してみると、やはりこの本から学ぶことがたくさんあると、あらためて気がつきます。
人生の原理原則は普遍性があり、時代が変わろうとも役立つ智恵はいつでも役立つということを、あらためて実感できます。
まさに名著。