『学力危機 北海道 教育で地域を守れ』の読書感想 – 全国最低レベルの学力。その背景には

学力危機 北海道 教育で地域を守れ

宿題の量が少なすぎる?全国学力テスト下位の理由にはこんな事情が。

読売新聞北海道支社著『学力危機 北海道 教育で地域を守れ』(中西出版)の読書感想です。

この本について

北海道の学力格差について特集している本。

全国学力テストで沖縄と最下位を争っている北海道。なぜ北海道の子どもの学力が低いのか?教育の問題点は何なのか?

北海道の教育の特殊性と問題点、改善策を考える内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P1)

北海道の教育関係者は、「学力を頑張る=勉強だけの子どもに育てる」という、間違った意識を抱えている。

教育関係者が「学力向上=勉強しかできない子ども」という負のイメージを持っているため、子どもの学力の低さに対して、危機意識が低い。

学力アップが学校を変える(P16)

北海道でも比較的学力が高い子どもが多い札幌市だが、実際は二分化が起こっている。特に経済的な事情を抱えている親が多い地域では、授業が荒れたりして落ち着かない。

子どもの学力が上がれば学校も落ち着いていくが、学力アップを目指して授業改革に乗り出しても、教員側から「勉強だけの子どもに育てたくない」という反発がある。

ここに問題点がある。

北海道の雰囲気(P40)

北海道では「勉強だけできても仕方ない」という雰囲気が異常に強い。そのため、子どもの学力アップに意識を持っている親、そうでない親との間に、大きな隔たりが生まれる。

大切なのは勉強ができればどんなメリットがあるか、その考えを公にしていくこと。雰囲気に流されず、我が子の教育を熱心に行うこと。

高学力の校区は人気が高い(P62)

札幌では、学校によって学力の差がかなり激しい。

そのため、子どもの教育に関心を持つ親が、札幌でも学力が高い、一部の人気の校区に集まってくる。それによって、ますます学校間の差が広がっていく。

具体的な校区は「札幌 3K2F」で検索)

北海道は自主性任せ?(P82)

北海道と本州の教員には、教育への意識に大きな差がある。

小学校では宿題の量が担任によってバラバラで、最低限のことしか教えない教師や、宿題を全然出さない自主性任せの教師がいる。

そのため「学校に任せていたら子どもの学力が平均以下になる」と危機感を持つ保護者も多い(特に道外からやってきた保護者)。

教師自身も公立学校では学力が身につかないことを意識しているが、北海道では教育に関心を持つ人が少ないため、「なぁなぁ」な状況が続いている。

学校を変えるために(P178)

経営が上手くいっていない企業は、「社員が保守的で、社内のコミュニケーションが取れていない」という共通点がある。

これは学校も同じで、上手くいっていない学校は、外部への警戒心が強く、学校外の人と打ち解けられない内向き志向が特徴。

学校が良くなり、落ち着けば、子どもの学力も上がる。PTAを活用し、学校自体が開かれた存在へと変わっていく必要がある。

そのために、学力レベル、教員の資質、学校内のトラブル、情報を地域で共有化していく必要がある。

感想など

北海道の公立校はこんな問題があるんだな、と興味深く読んだ本。

内容を簡単に要約すると、

1・地位的な問題としては、学力に熱心でない地域があって学校間の教育格差が激しい(生徒間の学力差が激しい)。

2・教師側の問題としては、子どもに差をつけるのは良くないという悪しき平等主義的な意識がある。そのために全然宿題を出さない教師がいて、親のなかにも「勉強なんてできてもダメさ」という雰囲気を持つ人がいる。

この2点に問題が集約されます。

確かにこれらの問題は札幌でもあるようで、例えば私が聞いた話だと、札幌の学校は学区によって雰囲気が全然違うらしく、某区の小学校はまるで動物園状態でひどい有様なのに、某区の小学校は学校全体が落ち着いていて雰囲気が違うそう。

まぁ学区や地域によって雰囲気が違うのは全国共通なので、札幌だけの問題ではないのかもしれませんが、やっぱり公立学校に子どもを通わせるなら、落ち着いた環境で学ぶべきことを学ばせたいところ。

子どもの学区を調べて、必要なら引っ越すというのも、自然なことだと思います。公立校はひどいところだと本当にどうしようもないくらいひどいですからね。

おまけに問題の根本的な解決策がない!)

あと、「宿題が少ない」+「学校では最低限のことしか教わらない」というのも聞いたことがあります。だから、「今の担任はちょっと・・・」と気になっている保護者はたいてい、塾か通信講座で子どもを勉強させているようです。

特に道外から転勤している人に多いらしく、塾だけでなく英会話などガンガンやらせている家庭と学力は学校任せの家庭では本当に大きな差ができているようです。

このような感じで、この本を読めば北海道や札幌の教育の問題点のおおよそのことが分かる内容になっています。

道外から引っ越してきて子どもを公立校に通わせる方、北海道の教育事情を知りたい方は、参考になる話が多いと思います。

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