村山洋史著『「つながり」と健康格差: なぜ夫と別れても妻は変わらず健康なのか』(ポプラ新書)の読書感想です。
この本について
人とのつながり方がいかに健康に影響を与えるかについて、分かりやすく説明している本。
結局人の幸福度&健康は周りの人との関係次第。もっと健康的に生きたいと思ったら、こんなことに気をつけてみるといいかも。
以下、本書の読書メモです。
長生きできるライフスタイル(P14)
長生きできる人は、社会とのつながりを持っている人。それは、喫煙や飲酒、運動などの習慣よりも最も健康のために重要なこと。
何歳になっても適度に人とのつながりを持つことこそが、長生きをする秘訣。
現在の状況(P17)
今の日本では、人と人との関係がどんどん、薄れていっている。血縁や地縁、社縁、それらがどんどん希薄になり、深く人と関わらない傾向が強まっている。
そのかわり強くなっているのが、興味や関心、目的などをきっかけとした新しい縁。私たち人間は、時代に応じた、新しい縁を作って、生きていく。
幸せは伝染する(P24)
人には他人の感情や表情を読み取ってそれを真似する仕組みが備わっている。
だから、幸せな人と一緒にいれば幸せな気持ちが伝染し、不幸な人と一緒にいれば、不幸な気持ちが伝染する。
良い人生の条件(P40)
良い人生の最重要条件とは人間関係。良い人間関係があれば健康になり、そして、幸せになる。これは、お金以上に重要なこと。
つながりの扱い方(P75)
誰ともつながらず、健康的に生きていくことは難しい。しかし、つながりが負担となり、不幸になるのも本末転倒。
誰かとつながるなら、それは無理なく、負担のない範囲で構わない。弱いつながりだったとしても、それはそれで、十分意味がある。
住みやすい地域の特徴(P110)
そこに住む人が幸せで安全な、いわゆる民度が高い地域のポイントはソーシャル・キャピタル。
人々の活動や協調が活発化されており、住民同士のあいさつはもちろんのこと、話し合いや助け合いが自然にできる。
だから、そこに住む人は、他の住民に疑心暗鬼を感じることなく、地域の一員同士として、協調的な関係を築くことができる。
一方、ソーシャル・キャピタルがダメな、民度が低い地域では、「人を見たら泥棒と思え」という具合、周りの人に疑心を持っており、安心できない。
だから居心地が悪く、住民同士の関係が悪い。当然、住み心地も悪くなる。
地域の人とのつながりを作る方法(P120)
「この地域に馴染みたい!」「知り合いを作りたい!」というときのポイントは、同じ時間に、同じ行動をすること。
例えば、毎日夕方6時に散歩をして、毎回同じルートを通る。そうすれば、毎回誰かと顔を合わすことができ、そのなかには、毎回見かける顔が見つける。
いつも見かける人ができたら、会釈したりあいさつしたりして、徐々に仲良くなっていく。
なぜ妻に去られた夫は早死するのか(P145)
高齢夫婦が離婚した場合、妻は健康的にかつ幸せになるが、夫は病気になったりして、早死しやすい。
その理由は人間関係。
妻の方が夫よりもいろんな人間関係を持っている一方、夫の人間関係は限られており、特に退職して家にいる夫は、なおさら人間関係が狭い傾向にある。
それが幸福度、健康度に、大きな影響を与えている。
感想など
離婚夫婦の健康を云々している本かと思ったら、人間関係のつながりと、健康度について書かれている本でした。
ようは、健康のためには一人だけで生きていくのではなく、誰かとつながっている実感を持つことが大切で、結局人は社会的動物である、という話。
人間関係はいろいろ、わずらわしさがありますが、それなくしては健康になれない。おまけに、幸せにもなれない。
しかし、人は近づきすぎるとお互いに傷つけ合う生き物。近すぎても、それはそれで、問題です。
ということで、わずらわしすぎず、かつ孤独になりすぎない、しかし、人の過干渉でメンドーなことにならない。
適度な距離感を身につけることが大切なのかもしれませんね。