結局、夢を叶える人叶わない人、どこが違う?
森博嗣著『夢の叶え方を知っていますか?』(朝日新書)の読書感想です。
この本について
夢について考える本。
なぜ多くの人は夢を持ちつつそれが実現できないのか、どんな夢なら実現することができるのかを考察。
夢を通じて人生を豊かにするためのヒントが満載の内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
夢を実現する人(P16)
夢を実現する人には共通点がある。
1つは自分の夢を知っていること。自分が何を実現したいのか、具体的なビジョンを持っていること。次に、それを早く実行すること。
この2つが出来る人が、夢を現実にすることができる。
面白いことは自分で探す(P59)
受け身でいる限り、人生を楽しむことはできない。
自分で思いつき行動する。それこそが楽しさの本質。人生は主体的に動いてこそ、刺激的で楽しくなる。
「夢を叶えた後」に目を向ける(P98)
結婚したい、作家になりたい、お金持ちになりたい。夢を持つのはいいが、大切なのは夢を叶えたあとどうなっているか、そこまで想像すること。
結婚したらどんな暮らしをしているのか、作家になったらどんな仕事をしているか、お金持ちになったらどうしているのか。
夢を叶えたときのことではなく、夢を叶えたあと具体的にどんな暮らしをしているのか。長いスパンで夢を考える。
まず始めよ(P106)
夢を叶える第一歩は、今できることを始めることからスタートする。ぼんやりと憧れているだけでは何も実現できない。
夢に関係のありそうなことを、とりあえず始めてみる。失敗してもいいので始める。そのなか、いろいろ試行錯誤する。
そうすると、今まで見えなかったものが見えてくる。夢を叶えるために何をすればいいのか、現実化する手段が見えてくる。
夢を実現すること(P123)
夢を実現すること=自分自身について知ること。自分の可能性を知ること。
夢を追い求める過程で、挫折や自分の限界、厳しい現実を思い知らされる。しかし、そこから目を背けず、自分を知ろうとする。それこそが、人生でとても大切なこと。
体調を管理する(P139)
自分のことは自分が一番知っている。
体調管理のために大切なのは、他人に合わせては無理しないこと。自分の生活ペースを守ること。
結局体調が悪いといろいろなことが上手くいかなくなる。夢を叶えるにしろ努力するにしろ、ベースにあるのは健康な体調。そこは妥協してはいけない。
仕事のコツ(P152)
仕事はキリの悪いところで終える。そうすることで、次に仕事に取り掛かるときも、仕事に取り掛かりやすくなる。
自分の特性を生かす(P162)
飽き性や凝り性、人にはそれぞれ特性がある。
大切なのは自分の特性を生かした仕事をすること。飽きっぽければ複数のことを同時進行すればいいし、凝り性なら一つのことにトコトン集中すればいい。
自分の特性を生かすことで、良い仕事のやり方が見つかる。
ストレスを失くす(P205)
ストレス=基本的に対人的なもの。他者に抱く不満がストレスの原因になる。
他者に対するストレスは自分ではどうしようもない。人は基本的に思い通りにならない。ストレスの一番の対処法は、「この人は無理」という人から遠ざかること。
しかし、現実問題、嫌な人がいるからといってそう簡単に人間関係を切ることは難しい。
人間関係は自分の思い通りにすることは基本無理なので、最終的には自分の考え方を変えていくしかない。
感想など
夢を持つことはどういうことなのか、読後に考えてしまう本。
確かに、10代の頃は「こんなふうになりたい」と憧れた生き方、暮らしがあったもの。
しかし、20代になってくると「俺の人生はこういうもんだ」という「現実」が見えてきて、そこで何かに挑戦する気概をなくしてしまうこともしばしば。
気持ちが老いるから夢を失くすのか、もともと夢は夢だから夢のままなのか。そこは少し分かりません(というか「ピン」とこない)。
でも、夢ではなく目標という言葉に置き換えるなら、それはまだ現実的。
「○○を実現したい!だから頑張ろう」
個人的には目標こそが現実で、多分本書で述べられている夢と同じものだと思います。
つまり、夢は叶わないものではなく、どうやったら叶うか、現実的に考えて行動していくものです。そう考えてこの本を読むと、いろいろ腑に落ちます。
大人になってくると、夢という言葉が大仰過ぎてあまり使う機会がなくなってしまいましたが、夢=目標の実現と考えるとスッキリします。
結局、目標は何なのか、具体的に理解する。そして、今できること、目標に近づくことを何でもいいので始めてみる。
そうすることで、時期はハッキリ分からないけど(目標実現の期限を設定すると上手くいかないことが多くてイヤになります)、ベストタイミングで目標が実現する。
そんな感じです。
夢を持つとかそんな大げさに考えなくてもいいので、まず何が欲しいか、したいか、そういうことから考えていくと、「あぁ、自分はこうしたいんだな」という方向が見えてきます。
この意味で、夢(目標)=自分を知る、というのは本当にそうだなぁと。
夢を追う過程で知らない自分が見えてきて、新しい自分が見つかる。それによって人生が豊かになる。
夢は実現しないファンタジーではなく、夢を追うこと自体に意味がある。最終的には叶う叶わないは些事たることなのかもしれません。
夢がなくても食べてはいける。でも、夢があれば、叶う叶わないは別として、きっと人生が豊かになる。そんなものだと思います。