結局、仕事をするということはこういうこと。
森博嗣著『「やりがいのある仕事」という幻想』(朝日新書)の読書感想です。
この本について
ベストセラー作家の仕事論。
仕事をするということはどういうことなのか、本当に仕事にやりがいはあるのか、常識にとらわれない、刺激的なメッセージが満載です。
以下、本書の読書メモです。
そもそも生きることは(P10)
「働かざる者食うべからず」、仕事をしていないものは人とはみなされない風潮があるが、そもそも人は働くために生きているわけではない。
働くことはそもそもそんなに偉いことではない。人はもともと生きているだけで素晴らしいのだから、「仕事が全て」的な考え方は不自然。
若者が就職で悩む理由(P13)
若者が就職で悩む理由は単純。今まで就職したことがないから。
仕事をすることは、きれいごとでは済まない、いやらしいところがある。大人が仕事について子どもに語るときは、お茶を濁して本音が隠されていている。
だから若者は、実際に就職するまで、社会で働くことがどういうことなのかが分からない。それが仕事に就くことへの恐れになっている。
仕事をすること(P33)
仕事=自分の時間と労力を差し出し、対価(お金、名誉、満足など)を得ること。
好きなことを仕事にしてはいけない?(P65)
好きなことを仕事にすると、それが嫌いになったときに困る。
人の心は流動的で、ずっと同じではない。気持ちも変わる。嫌いになったときに仕事を辞めてしまっては、効率が悪い。
ここが好きを仕事にする問題点。
常に勉強する(P83)
人間にとって最も価値がある投資とは、勉強をすること。
就職しようが何だろうが、自分の時間を持って勉強する。新しいことに興味を持ち勉強する。これこそが、自分のための最良の投資になる。
2つのタイプ(P85)
人間には、
1)新しいことに馴染むのに時間がかかるが、じっくり腰をすえて取り組むタイプ
2)新しい環境にもすぐに馴染みすぐ戦力になるが、飽きっぽくて一つの場所に長居できないタイプ
この2タイプの人がいる。
前者は一つの職場にずっといることで力を発揮でき、後者はいろんな会社を転々とするがどこで活躍できる。
自分がどちらのタイプなのかを知ることは、自分のキャリアを築いていく上でとても役に立つ。
仕事を辞めるとき(P135)
仕事はいつでも辞めることができる。ただし、辞めることによって、それ相応のデメリットも付随する。
基本的に人は、真っ白な人を好む。すぐに仕事を辞める人とか、一度離婚した人とか、何らかの色がついている人は、マイナス査定されてしまう現実がある。
だから、仕事を辞めるにしろ、なぜ仕事を辞めるのか、同じことを繰り返さないか、確固たる理由を持つ。
「自分にはもっといい仕事がある!」と青い鳥を探したり、気分気まぐれで仕事を辞めるのはダメ。
不安について(P174)
「収入が不安だ、仕事が上手くいくかどうか・・・」など、未来へ不安を感じるということは、生きているからこそ感じる不安。
そういう不安を持つことはとてもいいことであり、未来のことを考えられるということは、それだけ今に余裕があるということ。
どうしても先が不安なら、今何かしら備える行動をすればいいだけ。不安を燃料に、未来へ投資する。
感想など
仕事をすること、働くことはどういうことか、刺激的で新しい発見ができる本。
仕事をすることはお金を稼いでくることではありますが、仕事がつまらなかったり、職場の人間関係が終わってるとストレスフルだし、仕事に悪影響を及ぼします。
やっぱり仕事をしてお金を稼ぐなら、お金+アルファの何かが必要。
だからできれば、なぜ自分は働くのか、なぜ今の仕事をしているのか、自分なりの仕事観を持って、自分ありの仕事をする動機を持つことが大切だと思います。
この本では縦横無尽、仕事についてとても柔軟というか、自由かつ客観的な視点で、仕事とは何なのかが語られています。
こういう考え方を知っておくと、仕事をすることについて、自分なりの考えを持つ材料にできます。
仕事は一生続くもの。自分なりの働き方、仕事論を持って、長い人生、楽しみたいものですね。