脱税ダメ、ゼッタイ。『押せば意外に 税務署なんて怖くない』を読む

押せば意外に 税務署なんて怖くない

仕事をしてお金を稼ぐ。

我々は日本国民なので、稼いだお金の一部を税金としておさめる必要があります。税金を扱っているのが国税局であり、地域の税務署。

正しく利益を申告し、そして適切な税金をおさめること。これ自体は日本国に暮らす国民として当然の話ですが、必要以上の税金を支払う必要はありません。

そこで大切なのが節税という考え方。そして税務当局との付き合い方。

この2つに関する適切な知識を知ることによって私たちは日本国民として、正しく納税をすることができます。

この本について

本書『押せば意外に 税務署なんて怖くない』は、国税局のOBである著者が税務署との適切な付き合い方について指南。

何がダメで何がOKなのか。税務調査など、直接税務署員に対応するときはどうすべきなのか。

本書を読めば、税務当局との適切な関わり方について、分かりやすく理解することができます。

大切なのは税務署員も人であり、そして法の下に仕事をしている現実。逆に言えば、税務署員が個人の裁量や根拠のない取り立てをするのはNG。

そこで何がNGでそうでないのか、知識が必要になります。

本書ではそのヘンの話が非常に明快かつ、分かりやすく理解できるようになっています。税務署と関わるときは正々堂々していたい。

しかし想定外の「この経費はNGです」を食らったときなど。慌てて相手のペースに乗せられないために、この本を読んでおく価値があります。

以下、本書の読書メモです。

税務署員の特徴(P37)

税務署員=公務員。公務員なので、面倒事、手間、前例にないことを非常に嫌がる。

一般的に、税務署に逆らうと追徴で痛い目に遭わされるイメージがあるが、必ずしも現実はそうとは言えない。

税務署に逆らうのはそもそもがイレギュラーな反応。「その税金の取り立てはおかしいぞ」と真っ向から否定してくる納税者や税理士には非常に困る。

この意味で必ずしも税務署の指導に素直に従うことが最善の選択というわけでもない。

「考え方の相違」があった場合、きちんとそれを根拠に基づき説明してもらうなど、とことん納得することが大切。

つまり「おかしい」と思ったことにはきちんと説明を求めること。

税務調査について(P44)

税務調査の件数そのものは減少傾向だが、基本的に税務署は、きちんと追徴が狙える案件を重視して調査を検討している。

つまり、税務調査が来た段階で「追徴が取れる」と認識している可能性が高い。

あくどいこと。法に反することをしていれば追徴の対象になり、がっつりやられるので、不正はやめること。

調査官への対応(P62)

調査に来た税務署員の目的は追徴を取ること。そのためには、意識的にこちらを挑発したり、「脱税」の発言を引き出そうとするやり手の人もいる。

相手のペースに乗ったら思うがままなので、大切なのは冷静に対応すること。そして、答えにくいこと。分からないことは即答しない。

そのかわり調査官の質問をすべて記録。「検討して後日回答します」と時間を置くことが大切。

指摘された内容を調査官に1つ1つ確認した上で、「あなたの指摘事項はこれですべてですか?私が誤解していることはありますか?」と、調査官に確認すること。

納得できない追徴の根拠に説明を求める(P115)

こちらがきちんと納税をしていても、税務署との間に「見解の相違」が起こる場合がある。

税務署員は過去の判例等をもとに、「これは税金になります」と主張するが、国民側にとって有利な判例は完全スルーする傾向がある。

そのため、もし税務署員が「これはこの判決に基づいて税金になります」的な話をしたら、きちんと具体的にそれを確認すること。

過去の判例をもとにこちらに税金を取ろうとする調査官にはきちんと、「その判例は極めて個人的な事件ではないか」と確認。

その上で、判決の全文を用意して、調査官にどこがどのように、判決と違うのか、明確な説明を求めること。

ポイントはきちんと納得いく説明を受けること。根拠を明示してもらうこと。ただ言いなりになるのはNG。

グレーゾーンへの対処法(P163)

経費など、こちらとしては事業目的で使ったお金を「それは経費にはなりません」と税務署に否認される問題

前提として不正は絶対にダメ。しかし、仕事のために使ったお金なら、それをきちんと主張すべき。

調査官から問題点の指摘を受けたときは、こちらが納得できる根拠を求めること。彼らには根拠を明示する責任がある。

税務調査で準備するもの(P176)

税務調査される前に準備しておきたいのが税法の法規集。

調査官が追徴を決定する場合、そこには必ず法律による根拠が必要。つまり、この法があってこうなるので追徴します。そんな明快な根拠が必要。

そこで役に立つのが税法の法規集。

税務署員の指摘事項について1つ1つ根拠を説明してもらうこと。こうすることで、必要以上の不利益を被るリスクを減らすことができる。

税務署員が嫌がること(P181)

税務署員は公務員。

基本、面倒や手間、トラブルを嫌がる人種。だからこそ税務調査に入ったとき、彼らが一番嫌がるのは調査が長引くこと。

彼らは調査が長引くことで、ほかの署員からは「まだあの件は片付いてないの?あの人仕事ができないんじゃない?」と周囲から評判が下がることを嫌がる。

なので、場合によってはゴネ得やのらりくらり、臨機応変に対応を変えていくことが、ときに最善の手になる場合もある。

7月は要注意(P204)

7月は税務署の人事異動のとき。

この時期、新しく赴任してきた調査官は非常にやる気が高く、追徴を取るモチベーションが高い。

なぜなら、彼らは新しい職場で「結果」を出して自分の評判を高めたいから。

税務調査において、やる気がない調査官の方が結果は甘く、やる気がある調査官の場合、ガンガン攻められる可能性が高い。

万が一7月に調査の電話が入ったら、できる限り先延ばしをする方がよい。

税務署員に脅されたら(P226)

税務署員に脅し文句を言われたときの対処法はずばり、調査官の上司(統括官)に見解を確認すること。

「青色申告を取り消すぞ」など、いっかいの税務署員が自身の権限を超えて権力の乱用をしたと思われるような言動をしたときは、その言動を記録。

その上で税務署員の上司に見解を問い合わせをしておくこと。

「上司の許可を取っている」とウソをこく調査官もいるので、自分で直接、上司に確認しておくこと。

書類提出の意義(P229)

調査官は公務員。問題が大事になることを嫌う。

この習性を利用して、納得がいかない税金の追求にはきちんと反論すること。そのおすすめ手段が書類の提出。

「私はこのたびの調査のこことここがおかしいと感じています。自分の見解的には調査官のこの指摘はおかしいと感じています」

このような書類を提出すれば、書類の受付を総務課が担当するので、調査官は自分が扱っている案件を他の部署に知られることになる。

こうなれば自分だけの問題ではなくなり、きちんとした説明が求められる。だからこれを彼らは非常に嫌がる。

こちらが主張すべき点はきちんと主張し、納得できないことについてはきちんと説明を求める。

この意味で書類を提出するのは1つの選択肢になる。

感想など

税務署員も一人の人である。そして公務員である。

この習性を理解して、我々納税者はどのように立ち振る舞うべきなのか。その点について、非常に納得ができる本でした。

日本という国は、国民の税金で成り立っています。正しく税金を国に支払うのは非常に大切なことだし、必要なことです。

ただ、そこには公平性が必要。納得できないこと。おかしいと感じること。それにたいしてはきちんと説明を求めていくことが大切ではないでしょうか。

本書はそのための具体的な考え方が満載。何をどうすればいいか。自分の主張を説明するために何を用意すべきなのか。

実践的な話が分かりやすく掲載されています。

不正は一切なしは当然。でも税金は是々非々。正々堂々自分の考えを主張して、税金をおさめたいものです。

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