『大人の友情』の読書感想 – 大人になったからこそ考えたい「友」の話

大人の友情 (朝日文庫 か 23-8)

大人だから考えたい、大人のための友情論。

河合隼雄著『大人の友情』(朝日文庫)の読書感想です。

この本について

ユング心理学の大家、河合隼雄先生のエッセイ集。

この本では、「大人の友情」をテーマに、心理学的な視点から、友情とは何なのか、示唆に富んだエッセイが満載。

大人になったからこそ、友人や友情の意味、大切さが分かる。そんな本になっています。

以下、本書の読書メモです。

友だちができない悩み(P14)

小中高、10代の子どもが悩むのが「友だちができない」という悩み。

彼らはカウンセラーに友だちが「できない」と相談に来るが、友だちを作るための良い方法や答えはない。それが友人作りの難しいところ。

友情と恋愛(P48)

男女の友情で難しいのは、間に恋愛感情が入ってくるから。友人関係であっても、恋愛感情が混じれば、たちまち友人関係は崩れてしまう。

友人の出世を喜べない(P63)

友人の出世、成功にモヤモヤしてしまう、嫉妬してしまう感情について。

私たちは、友人の悲しい出来事には共感、同調することができる一方、友人の出世など、ポジティブな出来事に対しては、嫉妬などのダークな感情が湧いてくる。

友人関係ではそれが普通であって、ダークな感情に気づくことが大切。

人間関係は多様性と柔軟性を持つ(P104)

人は孤独では生きていけない。だからこそ、人は人とつながっていく。

人間関係を持つ上で大切なのは、この人とはこういう関係、あの人とはああいう関係というように、人間関係を固定化させないことが大切。

どんな人と付き合うにしろ、人付き合いはいろんな多様性が必要。特定の相手に固執してしまったり、執着してしまわないよう、人付き合いは柔軟性を意識する。

どんな人にも影がある(P120)

社会的に成功している人、人格者と称されている人、どんな立派な人にも、影(シャドウ)がある。

完全に「善」な人間など存在せず、陰と陽、互いに混ざり合った複雑なものが人の中に存在している。

だからこそ、人は魅力的であって、難しい。

自分の弱さを知る(P128)

人は、他人に愛想を尽かしているうちはまだよい。しかし、自分に愛想を尽かすようになったら、思いもよらぬ大胆な行動に出てしまう。

人は追い詰められると「そんなことはしない」ということをやってしまう。だからこそ、自分の弱さや怖さに目を向ける必要がある。

中原中也と小林秀雄について(P131)

親友だった中原中也の恋人、佐規子を奪った小林秀雄の話。

男同士の友情、特に芸術家の友情は難しいものがある。小林秀雄が中原中也の恋人を奪ったのは、小林秀雄が中原中也を愛していたから。

小林秀雄が佐規子に恋したのは、佐規子が偶然中原中也のそばにいたから。本質には、「同一視」の問題があり、小林秀雄の中原中也への愛が、略奪劇の根本にある。

完全性は裏切りを引き寄せる(P134)

完全な善、完全な正義は裏切りを誘発する。

偉大な英雄が裏切りで最期を迎えるのは、偉大さ、正義が裏切りを誘発するから。完全なものがあれば、それを崩そうとする動きが出てくる。

感想など

友情、友だちについて考える本。

10代の頃は気軽にいろんな人と付き合えて、一緒につるんでいた友だちがいたものの、20代30代、大人になって、だんだんと友が減っていく。

大人になると、大人同士、いろいろ難しいことが出てきて、10代の頃のような友だちを作るのも難しい。そんなことを考えてこの本を読んでいました。

友だちというと、やっぱり10代の頃と知り合った友だちが特別で、数は少ないですが、15歳の頃から付き合いのある友だちが数人います。

もう、昔のように頻繁に会うことは難しいですが、年に1度彼らと会うと、まるで10代の頃のように、何でも気軽に話ができ、馬鹿な気分に浸ることができる。

お金や地位、そういうものは関係なくて、何気ない空間を共有できることが、本当のフレンドシップなのかもしれません。

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