『となりのトトロ』や『もののけ姫』、『風立ちにぬ』など数多くの宮崎アニメを手がけてきた映画音楽の巨匠、久石譲さんの本『感動をつくれますか?』を読んだ感想です。
『感動をつくれますか?』について
映画音楽作曲の考え方を始め、勉強や仕事の心構えなど、一流のプロはどのように考えて物事に取り組むのかが分かる本です。
以下、気になった内容の要約です。
ものづくりの姿勢について(P16)
ものをつくるには2つの道がある。1つは自分のつくりたいものをつくっていく道。自分が満足できるものを求める道。
もう1つは自分を社会の一人として位置づけ、多くの人が受け入れるものを創作していく道。いわゆる商業作家の道。
久石譲が大切にする作曲家としてのプライオリティ(P19〜21)
とにかく曲を書き続けること。ものをつくることを仕事とする場合は、少量生産ではダメ。いいものを1つ2つ作るだけではやっていけない。
一発屋は誰でもなれる。プロとして大切なのは、継続的に作品を生み出せること。一流と二流の差も、ここ(継続力)にある。
創造的な仕事をするために(P23〜24)
自分が仕事しやすい環境を作る。気分に流されないで、きちんと仕事ができるよう、一定のペースを作る。規則正しい生活もその1つ。
浮かんだアイディアを見逃さない(P35)
良いアイディアは、必死に集中したあと、何気ない瞬間に「ポッ」と浮かぶ。浮かんだアイディアを忘れないよう、きちんと記録して、スタジオで形にする。
アイディアの源泉は質より量(P48)
創造の土台は自分の中の知識や経験の量。空っぽの中からものは作れない。自分の中のストックの量を増やし、キャパシティを増やしていく。そのために、たくさん本を読み、映画を観、いろんな場所へ行くことが大切。
直感は幸運を呼ぶ(P63〜64)
偶然の出会いを大切にする。自分の力はたかが知れていて、人から影響を受け、そのなかで、自分らしさが浮かんでくる程度のもの。
周囲にある良いものを引きつけてくれるのは直感。直感を研ぎ澄ますことで、幸運、アイディア、いろんなものを引き寄せる。
関わる人に注意する(P68)
人は流される。程度の低い人、意志の低い人と付き合うと、自然と下のレベルに流されてしまう。自分の環境を「整備」して、流されないように注意する。
避けられる苦労は避ける(P74)
人生はもともと大変。望んでも望まなくても、苦労はやってくる。わざわざ自分から苦労してなくてもいい。
ワンマンタイプの欠点(P136)
事業の創業者、ワンマン経営者は独創性があり直感が冴えていることが多いので、事業を着実に広げていくことができることが多い。
反面、「自分主体で自分しか信じていない」ので、周囲をイエスマンで固めがち。「裸の王様」になってしまうリスクがある。
自分の一人で考えて行動していても、直感が鈍るときが来る。その時がワンマンタイプのピンチになる。自分の直感に頼るのも良いが、良きアドバイザーを確保することが大切。
子どもを音楽のプロにさせたいなら(P164)
もし、子どもに音楽の才能があって、プロにさせたいなら、徹底的に厳しく指導すべき。多少スパルタになっても、ビシビシやらせることが大切。
ただ、厳しさと同時に楽しさも必要で、必要な課題を、子どもにやる気を持たせるような指導が必要。
感想など
たくさんの名曲を生み出している、作曲家の久石譲さんの仕事術が具体的かつ明確にまとめられている一冊で、とても勉強になりました。
この本を読めば、一流の作曲家としてコンスタントに成果を出している久石譲さんが、確固たる哲学を持って仕事をされているのが分かります。
「一流とは、ハイレベルの力を毎回発揮できることだ」(P21)とある通り、結果を出し、一流であり続ける人には、その人なりの哲学や考え方、仕事のコンセプトがあって、だからこそ、一流のポジションで仕事ができるのかもしれません。