病気・浪人・投獄、これらの試練を乗り越えることで。
伊藤肇著『左遷の哲学 「嵐の中でも時間はたつ」 』(産能大出版部)の読書感想です。
この本について
病気や浪人生活、投獄など、いわゆる人生の逆境時の心構えを説いた本。
人生必ずしも順風満帆にはいかず、来る日も来る日も嵐に耐えなければいけないときがあります。そういうときこそ試されるのが心構え。
この本では、逆境でも折れず、自分を高めていくためにインストールしておきたい熱いメッセージが満載の内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
人の運命について(P7)
人はそもそも孤独で、死ぬ時も一人。どんな人にも、いつか必ず死がやってくる。
だからこそ、「人生は有限である」という当たり前のことを忘れない。自分の生を、生きるに値するものにしていく。
貧すれば鈍する(P64)
浪人時代に大変なのはお金のこと、物質面のこと。
「貧すれば鈍する」の言葉通り、お金に困ってしまうと、それによって人として大切なプライド、品位まで失ってしまう。これが浪人時代最大の危機。
生活に困るほど困窮したときにこそ、己のプライド、人間としての品位が試されている。
生きること(P68)
人生は感じること。
喜び、怒り、哀しみ、苦しみ、様々な感情を経験し、味わい尽くしてこそ、人生は素晴らしいものになる。人生でいろんな感情を味わっていく、それが生きていくということ。
人生とは(P126)
人生は練習もなしにいきなり舞台に立たされ役割を演じさせられる劇のようなもの。ぶっつけ本番で役を演じなければいけないため、失敗したり後悔が残ったりする。
でも、それは練習なしの一度切りのものだからこそ面白い。失敗し悲観にくれることもあるかもしれないが、全力投球でぶつかっていく。そこに人生の喜びの妙味がある。
孤独こそ人間を磨く(P141)
周囲から隔離され孤独な状況に陥っている、そんなときこそ自分を磨くチャンス。
孤独で周りには誰もいないということは自分と向き合うベストタイミング。意識を内側に向け、いろんなことをじっくり考えていく。自分から逃げず向き合う、そこから見えてくるものがある。
活路は恐き所にあり(P191)
怖い状況、不安な状況から逃げ回っていては何もならない。「こちらは安全だ」と思っていた道が死地につながっていることもある。
大切なのは、どんなときも状況、現実を正確に把握すること。苦境に陥ったときにこそ、困難を直視する。その勇気があれば、必ず対処法が見つかる。
感想など
ジュンク堂で本を探しているときに見つけた本。
「左遷」という言葉が気になり読んでみたのですが、ビンゴ。昔読んだビジネス書で、「男が一皮むけるには病気・浪人生活・投獄、この3つのうちどれかを経験すること」という話がありましたが、この本が元ネタだったのかと。
文体は固いですが、この本を読むと、いつの時代も、人が苦しむことは同じで、結局悩みのない人生、試練のない人生はないものだなぁと勉強になります。
人生ピンチのとき、「なんでこんなことになったんだ・・・」と落ち込んでしまうのが人情。危機は人を打ちのめしますが、危機は人を成長させるチャンスでもあります。
仕事に人間関係、いろいろ思い通りにいかないことはありますが、それでもめげず、冷静に現状を見つめ、自分にできることを探してみる。そうすることで、新しい活路が開けたりするもの。
まぁ、ときに「もうダメだ・・・」と心折れそうになってしまうかもしれませんが、そういうときこそこの本のメッセージが生きてくるはず。
人生という荒波に溺れそうになったらこの本の出番。溺れずなんとか乗り越える、力がもらえるかも。