実践!人と良好な関係を築くためのカウンセラーのコミュニケーション法をこの本で。
東山紘久著『プロカウンセラーのコミュニケーション術』(創元社)の読書感想です。
この本について
ベストセラーとなった『プロカウンセラーの聞く技術』の続編。
この本では「聞く技術」からコミュニケーション論が中心となり、心理学の技術に基づいたプロカウンセラーによる対人関係理論が学べる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
屁理屈を言う相手とどう付き合うか(P8)
理屈に合わないこと、こちらを苛立たせることを言う相手への対応。
直接関わりのない人、あまり関係を持つ必要のない人であれば、放置しておくのが最善。相手の言動に反応して腹を立ててしまうと、ますます深みにはまってしますので注意が必要。
相手が日常でどうしても関わる必要のある相手(家族や会社、学校などで頻繁に顔を合わす相手)の場合、「なぜ相手がそんなことを言うのか?」を考えること。
屁理屈や嘘を言う相手は、本当のことを言うと都合が悪い。
だから屁理屈や嘘を言って、こちらを困らせようとする。だからこそ、「なぜ」の部分を考えて、相手の言動の背後にあるものを探ることが大切。
言葉について(P14)
言葉は難しい。人を傷つける言葉を言う方がすぐにそのことを忘れるが、言われた方がずっとそのことを覚えている。
人は他人の言動には敏感だが自分の言動には鈍感。自分の言動が、知らず知らず、人を傷つける刃になっていないか、注意する。
心が固くならないように(P25)
人は年々、思考や感性が固くなってくる。
考え方が固まってしまうと、物事の見方が固定化され、新しい発想ができなくなる。感性も固くなり、楽しいこと、驚くことが減って、人生が貧しくなる。
頭、心が固くならないよう、新しい情報や他人の考えは、意識して心を開いて受け入れる。メンツにこだわらず、何事も柔軟な姿勢を持つ。
「が」に注意(P34)
「あなたの話は分かりますが」など、話すときに「が」を使わないように気をつける。
否定的な話し方はコミュニケーションで余計な軋轢を生む。自分の話し方に否定語が入っていないか、人の話を否定するクセを持っていないか、普段から注意する。
悪口は自滅のもと(P48)
悪口を聞くのが好きな人はいない。
人の悪口ばかり言っていると、要注意人物扱いされ、人から信用を失い、周りから良心的な人が消えていく。悪口は結局、自滅の原因となる。
教育の原則(P52)
人を指導するのではなく、その人が元から持っている資質や才能を引き出すための援助をする。これが教育の原則。
心の病、悩みとの向き合い方(P113)
心の病や悩みは、原因を探るのではなく、その意味を考えることが大切。
心が病んだこと、悩んだことが人生でどんな意味があるのか、そこを探っていくことに意味がある。
気になることは自分とリンクしていること(P118)
他人の欠点や、人の行動で気になることは、自分の中の何かとリンクしていること。
他の人の行動が自分の心とリンクして影響を受けているのと同様、自分の行動も、他の人の心にリンクして影響を与えている。
魅力型カップルと理解型カップル(P138)
カップルには魅力型と理解型、2つのタイプがある。
魅力型カップルは、互いに様々なものが異なっており、違うタイプの人間同士であるがゆえ、強く惹かれあう。
しかし、違いが大きが故、互いに理解しあえないところも大きく、「性格の不一致」による離婚が起きやすい。
一方、理解型カップルは、似た者同士のカップル。考え方、感じ方が近いので、互いを理解することができる。
しかし、考え方が近いため刺激が乏しく、相手が「空気」のような存在となってしまい、マンネリに陥りやすい。
感想など
心理学の視点を交えたコミュニケーション概論的な内容。
具体的なコミュニケーション法を学ぶというより、コミュニケーションについての基本的な考え方を学ぶ本で、理論を参考にしつつ、実践は自分で挑戦していく必要があります。
人間関係は本当に難しいもので、「こうすればこうなる」という、再現性の高い方法論はありません。
結局は自分なりに最良のコミュニケーション法を身につけていく他ないですが、本書の理論を頭に入れておくことで、コミュニケーションにおける工夫の余地が生まれてきます。
私もこの本を参考に、出来る範囲、より良いコミュニケーション技術を身につけたいと思います。