「庭」という大地に見る作家の生き様。『庭仕事の愉しみ』の読書感想 –

10代の頃から愛読していた作家、ヘルマン・ヘッセの晩年のエッセイ集をまとめた『庭仕事の愉しみ』(草思社文庫)を読了。

ヘッセの作品には、美しい自然の姿や雄大さを描写した場面が多くて、人生と自然を重ねあわせるような描写が多いイメージがあります。

ヘッセのモノクロ写真が印象的なこの本では、ヘッセが日頃から考えていることを綴ったエッセイ集となっており、短いながらも、味わい深い文章を楽しめる内容になっています。

なかでも特に印象に残ったのは「老木の死を悼む」(P76)というエッセイ。

ヘッセの自宅での生活と、そこにあるユダの木について語られているエッセイで、

書斎からのこの眺め、このテラス、この茂みと樹木は、部屋や家具調度よりもはるかに私と私の生活に近いものになっている。

それらは私のほんとうのつきあい仲間、私に最も近いものであり、私はそれらとともに生き、それらは私の味方であり、信頼のおけるものたちなのである。

P78

など、日々の暮らしのなか、ヘッセの思惟の暮らしを垣間見れる内容になっています。

ところどころ挿入される挿絵や写真も味わいがあって、素朴でシンプルな生活の美しさが漂ってくる内容になっています。

この本を読むと、自然に囲まれて、庭仕事のような、何か没頭できることを愉しみ、文章を綴って生きていく、そんな質素な生き方がしたいと思いにかられます。

老年は穏やかに、そして自然とともに。いつか、そんな暮らしができればいいなと思いつつ、読書感想を〆ます。

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