道を外れて生きてみると、かえって世界が広く見える。『ヘッセの言葉 (人生の知恵)』を読む

夕暮れの街

年末の大掃除を終え、あとは明日年越しそばを食べるのを待つばかり。

ひと通り、今年のやるべきことは終えたので、我が人生と今年一年を振り返るべく、内省できる本をピックアップ。読んでみた本が『ヘッセの言葉 (人生の知恵)』(彌生書房)です。

この本では、ヘッセの作品や評論から、名言を精選。愛や友情、人生、社会や文化など、カテゴリごとに分類した名言集本です。

そのときどき、気分に応じてヘッセの言葉を読むことができるので、心の常備薬的な本になっています。このような感じです。

生きる道

「ぼくは、ぼくの内部からひとりでに出て来ようとするものだけを生きてみようとしたにすぎない。それがなぜあれほどむずかしかったのだろうか。」(P14)

不安と絶望

「不安はその正体をみきわめた者によってのみ克服される。」(P94)

創造の瞬間

「芸術的創造にたずさわる者は、我が身が破滅する限界ぎりぎりまで力を出し尽くさなくてはならない。かれは、恣意を厳しく制御することのなかにのみ自由の至福を見出すことができ、真実感にたいして禁欲者のように随順することのなかにのみ創造の瞬間を体験することができる。」(P149)

翻訳がやや古臭く、読みにくいところがあるものの、それでも、ヘッセの名文を、必要に応じてサッと読み返すことができるのが便利です。

ヘッセの生き方について

なぜヘッセに惹かれるのか?

その理由を考えてみると、やはり、ヘッセの生き方に共感を覚えるからかもしれません。

厳格な親のもとに生まれ、優秀な学生として神学校へ。しかし、そこでの規則まみれの生活に馴染めずドロップアウト、フラフラ時期を経て、書店員へ。

「作家になる他は何にもなりたくない!」と作家を目指し、『郷愁』の成功で作家活動へ。「私はこう生きていきたい!」という信念を貫いた作家として、私のなかではヘッセは特別な存在。

10代から20代はじめの頃は、まさに心酔していて、旅行のとき必ず、『デミアン』と『幸福論』を旅行カバンにしのばせ、旅に出たものです。

ヘッセの生まれ故郷の町や、『車輪の下』の舞台になった修道院にも行き、作家の足あとをたどりました。

もはやヘッセの作品は本棚に飾って、読み返すことはなくなりましたが、時折、デミアンなどをぱっと開いて、昔書き込みをしたところ、線を引いた文章を読み返しています。

良い本というのは、いつ読んでも、その時々、気付きを与えてくれるものですが、私にとって、ヘッセの本は、いつも何らかの刺激を与えてくれる作家の一人。

10代の頃、20代の頃、そして30代の頃。読み手の年齢や感性、状況によって、響く言葉は様々。あぁ、こうして私は年を取り、変わっていくのかと思うと、人生、不思議です。

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