『中高年がキレる理由』の読書感想 – 悩む中年時代を乗り越えるヒント

中高年がキレる理由 (平凡社新書)

ここが男の運命の分かれ道。

榎本博明著『中高年がキレる理由』(平凡社)の読書感想です。

この本について

コンビニや病院、電車、いろんなところで突然キレてしまう中年男性の心の問題を心理学的な視点から読み解く本。

この本を読むことで、街なかでキレているおじさんたちがなぜそのようになってしまうのか、その理由をそっと察することができるようになるかも。

以下、本書の読書メモです。

心の闇に対処できる人できない人(P13)

人は誰もが悩みや問題、ストレスを抱えて生きているが、自分の問題を上手く対処できる人とできない人がいる。

何事も適当で、遊びも仕事もバランスよく取り組める人は、比較的キレて自分を見失うような失態をすることは少ない。

しかし、真面目一筋、いい加減になることができない柔軟性が欠けるタイプの人は、あるときダムが崩壊するかのように、キレてしまうととんでもない出来事を引き起こしてしまう。

人間、硬すぎ真面目過ぎもよくない。

キレる人が増えている原因(P40)

周囲がドン引きしてしまうくらい突然キレてしまう人は、キレやすそうな人がキレるのではなく、「え、この人が?」という周囲からすれば真面目でしっかりしている人が多い。

なぜ普通で真面目な人が突然キレてしまうのか、その要員の一つに感情労働社会でのストレスがある。

感情労働とは

社会学者A・R・ホッシールドが提唱した概念。自分の感情を演技したり抑圧することによって、相手に良い感情を持ってもらう精神的な労働のこと。

【感情労働の例】

・キャビンアテンダントが乗客に笑顔を作りニコニコし、明るい雰囲気で接客する

・看護師が本当はイライラしてストレスが溜まっているが、その感情を患者に見せないよう、笑顔で優しく接客する

会社員は、仕事をするとき、「○○会社の社員」という立場で、一つの商品となる。

そこでは、自分がどう感じているかというより、どう振る舞うか、どのように周囲から見られるかを意識しなくてはいけない。

自分自身が商品であるため、自分の商品価値を高めるよう感情を管理し、会社内、顧客から評価を得られるよう努力する。

これはとてつもなく大変でストレスがたまること。現代社会、仕事で受けるストレスは、予想以上に大きい。

中年時代の課題(P54)

中年以降、人は人生の先が見えるようになる。

20代30代の頃は、「俺はもっと上へいける!」という気持ちを持つことができる。それを頼りに、「もっと、もっと」と頑張ることができる。

しかし、40を超えてくると、自分の人生の限界、到達地点が、具体的に見えてくる。そのため、「もっと上へ」という上昇志向をモチベーションにすることができなくなってくる

それだけでなく、今までのやり方が通用しなくなったり、「今のままではダメだ」という問題が降りかかってくる。

目の前に壁が現れ、今までのやり方では上手くいかない。頑張ることの限界が感じられ、そこで自分の価値観、仕事観、いろんなことを見直すことになる。

自分にとって、本質的なことを見つめなおす、それが必要になってくる。

影について(P118)

人にはそれぞれ、「このように生きたかった」けどできなかったもう一人の自分がいる。ユングはそれを「影」と言った。

影は、現実に適応するために排除、抑圧された自分の人格。中年以降、この影が表にチラチラとその存在感を示しだす。

影と向き合わないと、その影が現実世界で悪さをしだす。自分のなかの影を無視することで、人生が急降下してしまう危険も。

例)

→真面目一筋で頑張ってきた中年男が水商売の女にハマってしまい男は女の金づるに。男は女のために金を貢ぐ。しまいには会社の金を横領するようになり最後は逮捕。妻とに離婚になり、家族、金、仕事、全てを失う。

特に、中年期は女性関係に注意。

妻子ども、家庭を持つ男は、「え、こんな女にハマってるの?」というような、自分でも意外なタイプの女にハマってしまうことが多い。

それによって、人生が坂道を転がり落ちるように、女がきっかけで人生詰んでしまう中年男が案外多い。

この罠にハマらないために知っておきたいのは、自分でも意外なタイプの女にハマったとき、その女は男にとってのアニマ(男の理想の女像)であるということ。

バカみたいに夢中になってしまう女は自分の中の未開発の部分を持っている女

女に夢中になるのではなく、自分の中に眠っている未開発の部分、意外な側面を発見し、影を解放していく。こんな作業が必要となってくる。

夫と妻(P166)

中高年のときに直面するのが妻との関係。妻は夫に不満を抱きやすく、仕事を頑張って家のためにお金を入れていても、不満を感じている。

男としては、退職したら妻とのんびり過ごしたいと考えるが、現実的に、退職後も夫と時間を過ごしたいと考える妻は少ない。

男としては、家族のためにお金を稼いでくる甲斐性が男の役目と考えるが、女はそれだけ(お金を稼ぐ)では満足しないということを知っておく。

感想など

読んだあと少し怖くなってしまった本。

この本を読むと、大の男がキレてしまうのは、やっぱりそれだけいろんな原因があるのかな、と感じたのが正直なところ。

ユングの話とか出てきました(人生の正午、影など)が、中年以降は20代30代のときとは状況が変わってしまうのは確かなのかも。

若いときは「得ること」「作り上げる」ことをメインに頑張ってきて、それでそれなりの自分のポジション、在りようが出来上がっていく。

ところが、40代を迎えると、それまで見えてきた景色が色あせて、自分が進んでいく道が見えてしまう。それだけならまだしも、仕事、家族、いろんなところから問題がわきあがってくる。

40は厄年の問題もあって、いろんな難しいことが出てきますが、40は人生で悩んでしまう、そういう年齢なのかもしれません。

いやぁ、年を取るって、難しいですね。

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