日記で日本人を考察。ドナルド・キーン著『百代の過客』を読んだ感想

百代の過客 日記にみる日本人 (講談社学術文庫)

奈良時代から江戸時代まで、80近くの日本の日記文学を分析、「日本人とは何か?」を問うのが本、『百代の過客 日記にみる日本人』を読んだ感想です。日記文学の魅力や日本の文化を勉強できる面白い本でした。

著者のドナルド・キーンさんによると、外国では小説や随筆の方を、より高く評価する傾向にあるとのことですが、日本の場合、日記自体を「文学」の形式として評価しているそう。

そして、日本の日記には、私的(女性的)、自伝的な傾向があるそうです。

例えば藤原道綱母の蜻蛉日記。この日記は、夫への恨みつらみが延々と書き綴られているような、男性視点で読むと気が滅入る(かもしれない)ダークな日記。

作者が自分自身の周囲の世界を描き、そこに没頭してしまう内的な世界。結果、他者の視点がなく、自己視点のみから日記が書かれているのがこの日記。蜻蛉日記だけでなく、ほかの日本の日記文学にも、このような自伝的な傾向があるそうです。

このような感じで、奈良時代から江戸時代まで、80近くの日本の日記を丹念に分析していくのが本書。

・平安時代
→有名な土佐日記から和泉式部日記、中右記など12作品

・鎌倉時代
→名月記や十六夜日記など17作品

・室町時代
→白河紀行などの紀行日記を含めて22作品

・江戸時代
→芭蕉の奥の細道をはじめ27作品

有名な作品も多いですが、ほとんどが知らない日記ばかりで、日本にはたくさんの日記文学があることを知りました。

日本の日記文学には自伝的、内省的な傾向があって、それを分析することで、「日本人とは何か?」ということが分かります。

「夕方、沈む太陽、遠くの山を見ていると、風流を感じる。」

そんな瞬間、ありませんか?

もしそうなら、あなたがなぜそのように感じるのか、昔の日本人の日記を読むことで、その理由が分かるかもしれませんよ。

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