一芸を極める秘訣を探る!宮本武蔵『五輪書』の感想など

五輪書 (講談社学術文庫)

講談社学術文庫の鎌田茂雄訳『五輪書』を読みました。決して負けない不敗の剣士、宮本武蔵の兵法の奥義、人生観を、現代語訳で分かりやすく読むことができます。

五輪書とは

剣豪宮本武蔵が書き残した兵法書。「地之巻」「水之巻」「火之巻」「風之巻」「空之巻」からなる。

本書の内容ですが、五輪書のかんたんな説明→宮本武蔵の人生→五輪書(原文+現代語訳)という構成になっていてます。難しいところには訳者の鎌田氏の解説がついているので、分かりやすく理解できます。

以下、気になったところの抜粋です。

独行道について

「現代に生きるわれわれは、背後から突然に人に斬られることはないが、サラリーマンの世界では刀で斬られることはなくとも、同僚や他人に地位や心を斬り殺されることはあるものである。武蔵が生きた道とは、神仏を頼まず、自分自身だけを信じて己れの力の全力を出しきって開いた境地であった。それは一切の甘えを捨てることであった。それは自らが自らに勝負する世界であった。」(P22)

地之巻、人の使い方について

「仕事の効率がよく、手際がよいということ、何事も気をゆるめないこと、大切なことを知ること、気力の上中下を見極めること、勢いをつけるということ、無理を心得るということ。」(P62)

地之巻、武器について

「武器をはじめてとして区別して愛してはならぬ。必要以上に持ちすぎるのは、不足するのと同じことである。人のまねをせず、その身に応じ、武器は自分の使いやすいものでなければならぬ。将でも卒でも、特定のものを好いたり嫌ったりするのはよくない。」(P82)

水之巻、兵法についての心得

「兵法の道においては、心の持ち方は平常心と変わってはならない。平常も、戦いの際も、少しも変わることなく、心を広く、まっすぐにし、緊張しすぎることなく、少しもたるむことなく、心が偏らないように真ん中に置き、流動自在な状態にたもち、その流れが一瞬も止まらぬよう、よくよく注意しなければならない。」(P93)

水之巻、無心について

「兵法において技がきまるのは、無心のときでなければならない。無心というと、一切、心がないのではない。平常心を保つことが無心なのである。」(P98)

火之巻、敵との位置取りについて

「場とりの良否を見分けるのが大切である。 ~中略~ 敵を見下ろすといって、少しでも高いところで構えるように心得よ。」(P160)

感想など

五輪書というと、「宮本武蔵の人生哲学書」的なイメージがありますが、実際には剣の道を説いた武道書です。しかし、そのなかに剣豪宮本武蔵の独特の視点、技術の裏にある思想が感じられます。

一芸を極めた人は、独特の価値観と行動様式がありますが、剣の道を極めた宮本武蔵の本が、こうして今も読めるのは素晴らしいことです。勉強させてもらいたいと思います。

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