『<ふつう>から遠くはなれて』の読書感想 – 絶望する。だから希望が見えてくる。

〈ふつう〉から遠くはなれて ――「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録

哲学者中島義道の名言をこの本に凝縮。

中島義道著『<ふつう>から遠くはなれて』(青春出版社)の読書感想です。

この本について

哲学者、中島義道さんの名言集。

過去の著作から名言を抜粋、「死」、「悪」、「欠点」など10のカテゴリに分類。

・「自分の欠点を活かす」より

自分自身とは何か、それがどこかにころがっているわけではない。「そのままのあなたでいいの」という甘いささやきが表すような安易なものでもない。

それは、各人が生涯をかけて見出すものだ。

しかも、それはあなたの過去の体験のうちからしか、とりわけあなたが「現におこなったこと」のうちからしか姿を現さない。

とくに、思い出すだけでも脂汗が出るようなこと、こころの歴史から消してしまいたいようなこと、それらを正面から見据えるのでないかぎり、現出しない。

(P82)

・「与えれた仕事において努力の限りを尽くす」より

私はとにかく一生懸命に努力する。

しかし、どうしてもうまくいかない。私は挫折する。私は倒れる。私はしばらく死んだように横たわっている。

すると・・・しばらくして、どこからともなくするすると救いの手が伸びてくるのである。

そして、まったく自分の予期しない解決が与えられる。いったいこれは何なのだろう?いまだにわからない。

だから、私は以後挫折を繰り返すごとに腹が据わってきた。

慌てないでしばらく倒れていよう、と思うようになった。挫折しているあいだ私はすさまじく孤独である。ヨブのように孤独である。

そして、その苦しくつらいあいだに考えたことが、自分の最も真実の叫び声なのだということがますます身に沁みて分かる。

(P145)

・「他人に何も期待しない」より

人間は他人を妬む者、嫌う者、排斥する者、差別する者・・・であり、しかも自分はそうされたくない者、幸福を求めながらも、不幸を招き寄せる者、他人の幸福をかならずしも願わずに、往々にして不幸を願う者、極めてエゴイスティックであると同時に、自己犠牲の物語には感動する者、ずるさや卑劣さを嫌悪しながら、しばしばそれに従う者・・・という人間の内なる豊かな不条理をもっともっと教えるべきだと思います。

(P180)

など、胸を真一文字に切り裂かれるような、切れ味のある言葉を味わうことができます。

感想など

「言葉にクセはあるし、誰にも推薦できる本ではないけれど、確かに世の中、こういう現実があって、こういう人生観や考え方も、人生で必要かもしれない」と思った本。

この本は普通の名言集とはひと味違って、読んでいても全くポジティブな気持ちにならないし、毒が充満した本になっています。

そのため、読めば読むほど、斜に構えてしまうというか、偏屈というか、ネガティブな気持ちになる可能性があります。

でも、ネガティブを突き詰めていくと、そこにある種の気楽さというか、開放感があって、それがクセになってしまうのがこの本のいいところだと思います。

あなたの人生は思い通りにならない。

成功は完全に運である。人生ある段階で上手くいかないなら、自分の人生を諦める。

人間は悪い奴が多いし、善人なんて利己主義者の塊だ。

こんな具合、人によっては拒絶反応を起こす可能性がある本なので、誰にもススメられる本ではないですが、ハマる人はハマる、独特の中毒性があります。

個人的にはふと人生立ち止まったときとか壁にぶち当たったときとか、こっそりページをめくりたい。そんな本だと思います。

本はこちら