儲かる会社に法則なし、されど潰れる会社には法則あり!?
藤野英人著『5700人の社長と会ったカリスマファンドマネジャーが明かす 儲かる会社、つぶれる会社の法則』(ダイヤモンド社)の読書感想です。
内容について
儲かる会社、ダメになってしまう会社の特徴が分かる一冊。
著者はファンドマネージャーということで、儲かる会社を探して、そこに投資をするのが仕事。
そこで様々な会社を調査し、5000人以上の社長と面会。そこで気がついた会社の命運の法則について書かれているのが本書。
一応、上手くいく会社、投資すると良い会社を見分けるための本だと思いますが、
・サラリーマン社長の会社の先行きは暗い
・美人受付嬢の会社は表面を取り繕っていて、社長が公私混同している可能性あり
・トイレやコピー機の周りなど、清掃が行き届いていない会社はヤバい
など、どちらかというと、「こういう会社が上手くいく!」という例より、「こういう会社はダメになる!」という法則が多いように思います。
よく、「成功には明確な原因がないが、失敗には明確な理由がある」と言われるように、成功したところよりも、むしろ失敗する要因に目を向けた方が勉強になることも多いと思います。
以下、本書の気になった内容の要約です。
会社の業績は株価に反映されている(P22)
基本的にきちんと業績を出している会社は、株価の動きは短期間では変動する。
しかし長期的な視点で株価をチェックすると、きちんと業績が株価に反映されている。
成長する会社に長期で投資すれば、利益が出る。
会社の本質は細かいところに出る(P31)
良い会社か悪い会社か、判断するには、目に見えている部分を見て、総合的に判断する他ない。
しかし、細かいところをよくよく調べてみると、その会社の本質がよく分かる。
「神は細部に宿る」という言葉どおり、表面は良いが細かい部分でダメなところが多いところは、何かしら問題点がある会社と考えた方がいいかも。
企業を知るにはは社長をよく見ること(P34)
会社の顔はやはり社長。
社長の人間性や性格によって、その会社がどんな会社なのか、これからどんな運命をたどるのか、予測する有効な材料になる。
今後サラリーマン社長の会社は期待できないかも(P38)
日本ではサラリーマン社長が多い。
しかし競争が進む今の時代、無難に会社をまとめようとするサラリーマン社長より注目はオーナー社長。
アクの強いワンマン社長の方が、時代への適応力が高い。
こんな社長に注目する(P41)
名前を聞けば顔が浮かぶ社長、ヴィジョンや目標を明確に語れる社長、決め台詞を持っている社長、コンプレックスを持っている社長は要注目。
その社長の会社は成長が期待できる。
こんな社長の会社は要注意(P56)
やたらと大言壮語する社長、都合の悪いことを質問するとキレる社長は余裕がなく経営がヤバい証拠。
投資は要注意。情報を積極的に公開する社長は注目すべし。
勤めるのも投資するのも、こんな会社はやめとけ(P70)
「ブラック度の高い可能性のある危険な会社の特徴。
・社長が自分の自伝を社員に配る(or強制購入させる)
・会社に社長の銅像や肖像画などの自己顕示欲の強さを表すものがある
・社長室が無意味に豪華、生え抜きの幹部社員がいない
・社員(管理職含む)が頻繁に入れ替わる
アバウトな会社は先行きがヤバい(P96)
会議室の時計の時間が狂っている会社、カレンダーが雑になっている会社、清掃がダメな会社は、社員が会社に愛情を持っていない何よりの証拠。
社員が頑張らない会社の業績が上がるはずがない。
リーマン・ショック後も儲かっている会社の特徴(P116)
社長がリーダーシップを発揮できており他社にはない独自の商品を持っている会社は、リーマン・ショック後も成長を続けている。
オーナー社長の息子がナンバー2の会社は(P127)
オーナー会社は基本的に社長のワンマンで運営されているので、社長にカリスマ性と能力がある場合、会社は成長していく。
しかし、社長が会社を私物化し、息子をナンバー2にして家族経営職を強く出す場合、その社長が引退した後がヤバいかも。
カリスマ社長の息子は、おうおうにして社長の能力を受け継いでいないことが多いから。
これからの時代を生き抜く会社かどうかを見抜く7つのチェックポイント(P186)
1・お客を大事にする会社か。
2・経営者が従業員を大事に扱っているか。
3・従業員が家族を大事にできるよう、配慮しているか。
4・取引先と公平に取引をしているか。長期的に付き合えるような配慮をしているか。
5・株主との対話を心がけ、情報をきちんと公開しているか。
6・地域社会に溶け込む努力をし、地域の人々に配慮しているか。
7・経営者が周囲の声を聞き、経営の責任を自覚しているか。
感想など
タイトル買いした一冊。商売をやる身分として、どんな会社が上手くいって、どんな会社が上手くいかないのかは、とても興味があります。
この本はたくさんの社長に会うファンドマネージャーの方が書かれた本のようですが、この本を読むと、いろんな会社があって、ダメな会社にはいろんな問題があるということが分かります。
一応本書では、「こういう会社は成長しますよ」という内容もありますが、個人的に、成功した例はあまり参考にならないことが多いように思います。
むしろ、上手くいかない例の方が汎用性があって、「これをしなければいい」という例は、積極的に勉強したいと思っています。
投資を勉強する方は「投資してはいけない会社」を見つけるために。
勤める会社を検討している方は、「勤めてはいけないブラックな会社」を見つけるために本書を読むと、参考になる情報が見つかるかも。