人の世は人の集まり。人を知ることが生きる知恵に。
谷沢永一著『決定版 人間通でなければ生きられない』(PHP研究所)の読書感想です。
この本について
人間とは何か、人の世とは何か、どうやって生きていくか、人間と生き方に焦点を当てた人間通の入門本。
人間を知り、人間が作る世の中を知る。この本では、人間通となり、生きていくための処世訓が学べる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
人が不幸を感じる時(P3)
人は「自分は世の中から認められていない」と感じるとき不幸を感じる。
日々の人間関係において、満たされ、等身大の評価を得て認められている人は、不幸など感じない。
人が幸せになって心の豊かさを感じる、そんな成熟社会を作るためには、人と人が、互いに認め合い評価し合う関係を作ることが大切。
資本主義社会は悪か(P53)
資本主義社会は完璧ではないが、今ある仕組みの中で一番マシな社会。
どんな社会でも、孤立して疎外される人間は出てくる。誰もが救われる社会システムなど存在しない。
社会の豊かさと道徳性(P77)
恥を気にしない人が増えたということは、恥を気にせずとも生きていける豊かで穏やかな社会が到来したという証。
社会が豊かになれば人々の自尊心が強くなる。強くなった自尊心を率直に外に出せるということは、それだけ文化が向上していることの証。
社会性が向上し、余裕が出てくれば、人間が生意気になり、怠け者になる。
これからの読書の在り方(P82)
本はエネルギーをもらうための方法。各自が好きな本を読み、必要なものを得ればいい。皆が読むから読む、そんな読書は不要。
日本人と空気(P181)
日本人は「その場の空気」で動いている。
周りの人に送れず空気を吸い、それにしたがって生きることが日本の共同体の論理であり、日本人的な生き方。
共同体の中では話し合いが重要視され、そこで大切なのは、「皆の話し合いで決まった」という空気を作ること。
必ずしも、全員が真剣に話し合う必要はない。
人間社会とヒエラルキー(P209)
人が集まるところ、そこには階層が発生、ヒエラルキーが生じる。社会に階層が生まれることは、役割分担が行われるということ。それが自然な姿。
俗にまみえる(P215)
人間関係において俗にまみれること=現実適応すること。
高尚ぶって孤高を気取っても、それでは世の中の現実に対応することができない。積極的に俗にまみれ、人の世、現実と向き合うべし。
人間関係のコツ(P216)
人間関係のコツは、まず相手に与えること。相手を先に立てること。
オレオレオレでは人間関係は上手くいかない。まず人に譲り、相手を立てること。
どうしようもないときは諦める(P218)
物事には「時」がある。
どんなに最善を尽くしても、「時」を得られなかったばかりに失敗してしまうことがある。それは仕方がないこと。
努力しても不運に見舞われたときは、そこからジタバタせず、時期を待つこと。
本当に大切なもの(P221)
聡明さや才能が成功に役立つのは事実だが、最後にものを言うのは、生まれた持った能力より、日々の努力と学び。
最後には日々学び自分を成長させていく人間が勝つ。
感想など
幅広い視点で人間とは何か、考察していく本。
人生の根本は人間関係で、仕事にしろプライベートにしろ、人間関係を完全に切って生きていくことはできません。
周囲との関係なしに、幸せも成功もなし。だからこそ、人間を知り、現実に即したより良い関わり方が必要になってきます。
まぁ、実際人間関係は難しくて、良いこと以上、いろいろ大変なことも多いですが、現実を知る努力をすることで、受け入れられることもあると思います。
だからこそ、人間通になるべく、日々自己研鑚。
「こうあってほしい」ではなく、「こういうもの」という視点を大切に、人の世を見ていくことが大切なのかもしれません。