『諦める力』の読書感想 – 諦めず努力し続けることはカッコいいかもしれない、しかし

諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない

努力を続ければ、最後に夢は叶う?

為末大著『諦める力』(プレジデント社)の読書感想です。

この本について

元アスリートの為末大さんによる努力の限界についての本。

世の中では「努力すれば報われる、努力なくして成功なし」と頑張ることのプラスの側面ばかりが協調されています。

しかし、実際の現実社会では、

「本当にそうなの?」

「頑張る人が報われるの?」

と疑問に感じる場面が多いと思います。

この本では、努力と結果、モヤモヤする疑問にスッキリできる内容になっています。「頑張っているのに結果が出ない、上手くいかない・・・」と悩んだら、一読をオススメします。

以下、本書の読書メモです。

諦めること(P3)

一般的に、「諦める」という言葉はネガティブな意味で使われることが多いが、もともとの意味はポジティブなもの。

現状を正確に認識しつつ、今この瞬間の自分の姿を悟ること。諦めることは、投げ出したり、逃げることではない。

勝ちやすい場所を見極める(P27)

勝負によって勝ち負けが決まる場所に置いては、勝ちやすさを追求することは一つの戦略

「頑張ればなんとかなる」と根性論で考えず、どこで戦えば勝つことができるのか、勝てる場所を分析し、勝負を挑む。

努力して叶うこと、叶わないこと(P32)

世の中には、自分の努力で手に入るもの叶うもの、努力しても手に入らないもの、叶わないものがある。

努力して手に入るものというのは、それは自分の能力に合っているものだから。自分の能力、適正に見合わないものを努力で追いかけても、手に入れるのは難しい。

可能性を絞ること(P34)

年齢を重ねていくことは、人生の可能性を減らし、進む方向を絞っていく過程。

若いときは、「何でもなれる!」という期待があるが、それは同時に、何にも特化できていない、中途半端な状態。

年を取って、自分ができることとできないことを見極めていくということは、自分が何に特化できるのか、それを明らかにすること。

可能性が狭まっているからこそ、何ができるのか、知ることができる。自分ができることを見極めることで、その道を深く究めることができる。

人は変われない(P37)

人は、自分の努力で変えられることと変えられないことがある。

現実には、努力で変えられないことの方が多い。だからこそ、自分が変わらなくても戦える場所、勝てるフィールドを見つけることが大切。

勝てない場所で努力をせず、無理なことは無理と割り切ること。これは人生を生き抜く上で大切な戦略。

可能性がないことを見極めた上で、どこで戦えばいいのか、どこで努力をすればいいのか、そこを見極める。

夢が叶わないの努力してないから?(P45)

「やればできる!」「諦めず努力すれば、いつか夢は叶う」そんな言葉が成功者から語られるが、この言葉の裏には、努力しても成功できなかった、たくさんの人々の影がある。

努力すれば上手くいく、努力しないから上手くいかないなど、努力と成功の相関関係は曖昧。人生は努力すれば上手くいくという単純なものではない。

諦めないことの代償(P48)

物事には引き際がある。ダメなとき、無理な可能性が高いことが分かった時点で引いていればダメージは最小限で抑えられるが、「頑張ればいつかは叶う!」と努力を続けていると、その代償として失うものがある。

人生は有限。叶わない努力を続けていく間、私たちはどんどん年を取っていく。

上手くいく可能性が低いことに執着することで、上手くいく可能性があることに挑戦するチャンスを失う。転身するチャンスや、結婚するチャンスなど、叶わない努力を続けることでいろんな可能性を失う

「成功する未来」が見えるなら努力を続ける価値がある(P56)

今上手くいっていても、このまま頑張ればいつかは上手くいくかもしれない。せっかくずっと頑張ってきたんだから、もう少し頑張ろう。こんな努力が報われる可能性は低い。

努力を続けて上手くいくのは、「もう少しで成功しそう」という未来が見えているとき。成功が体感的に予感できている場合。

努力をするにも、先が見えているか見えていないかで、結果に大きな違いが生まれる。

人生は一つではない(P61)

今こだわっていること、頑張っていることを諦めるのは非常に不安で、やめるには勇気がいる。

こういうとき、「今これをやめても、自分には他の道がある」と意識できるかどうかで、気持ちの持ちようが変わってくる。

人生、生き方は一つではない。今の人生と並行して、他の可能性もある。

大切なのは、「これをやめたら今の自分が自分でなくなってしまう、人生の意味を失ってしまう・・・」というように、自分を追い込まないこと。

今頑張っていることがダメでも他の道で可能性はあることを知っておく。

成功者の言葉には注意する(P68)

成功者の影に無数の敗者あり。

「努力したから報われた、続けたからこそ上手くいった」という成功者の言葉の裏には、「努力しても上手くいかなった」多数の敗者がいることを忘れてはいけない。

努力を続けて上手くいくことがあることは確かだが、それは少数派。現実社会では、勝者よりも敗者の方が多く、努力が報われていない人の方が多い。

だからこそ、無理なことは無理と割り切り、「適正のない」と分かったことは努力せず、可能性があることを見つけ、努力する場所を間違えないことが大切。

ダメなこと、飽きたことはやめていい(P70)

諦めること、やめることは、選びなおすことであり、向いていない方向を修正すること。諦めること、やめることに敗北感を感じる必要はない。

詰まったときは環境を変える(P86)

物事が上手くいかず、人生で詰まったら、思い切って環境を変えてみるのもいい。

住む場所、見る風景、接する人が変われば、考え方や行動も変わっていく。一度自分を白紙にし、また考え直して、人生をやり直せばいい。

辛い時期を乗り越えても成功できるとは限らない(P109)

成功者は「あの辛い時期を乗り越えたから成功した今がある」ということを言うが、成功者の体験は一般化できない

ほとんどの人は、辛い時期を乗り越えたからといって、その報いがあるわけではない。

10人が挑戦し9人が失敗。「諦めなければ成功する、努力すれば報われる」というのは、1人だけ成功した人が、自分のロジックで成功論を語っているにすぎない。

「努力が報われること、頑張ればなんとかなる」という話を信じて、報われない環境で頑張り続けるのもいいが、失敗は自己責任。

彼らの話を信じて頑張っても、誰も責任を取ってくれないことを知っておく。

一つに絞らない(P114)

方向性を一つに絞って努力する。

日本人はこのような一意専心が好きだが、方向性を一つだけに絞ることは人生の逃げ場を失くすことであり、人生をギャンブル化させてしまう危険な考え。

一意専心で方向を一つだけに絞らず、「これがダメならあちらへ行こう」という具合、オプションをつけることが大切。

人生の方向を絞らず、いろんな可能性、逃げ道を検討しておくことで、失敗したときに自分を追い詰めないですむ。

基準を決めること(P127)

測定できないものは管理できない。

自分の基準を持っていないと、人が決めた判断基準(ランキング)によって振り回されてしまう。

人生で何をもって成功とし、何をもって失敗とするのか、自分なりの明確な判断基準を持つ。

勝負の鉄則(P153)

勝つために大切な考え方は、ニッチな分野を狙うこと。

自分が強みを持っている分野で、より競争の少ないところを狙う。これが勝負の鉄則。勝てないところで勝負をする必要はない

ノブリス・オブリージュの真相(P165)

「身分の高いもの、社会的成功者がその地位に相応しい義務を果たすべき」というノブリス・オブリージュ。

一見、高貴な考え方だが、ノブリス・オブリージュは持つ者の自己保身的な考えが根本にある。

勝ち組が常に勝ち組である世の中では、負け組は必ず世の中に不満を感じ、革命を起こしてしまう。少数の勝ち組は、多数の負け組によって、生命財産を脅かされる。

だからこそ、持つ者はノブリス・オブリージュを実践することで、大衆のガス抜きをしている。

努力しても苦痛なことは向いてない(P171)

努力なくして成功なしは真実。

しかし、向いていないこと、努力していて苦痛なことを頑張っても、報われないどころか時間のムダになる。

「頑張った」と思うことを続けていても、ダメ。どこかで区切りをつけたり、方向転換を狙う。

アドバイスは選別する(P187)

何か決断するときにアドバイスしてもらう人は選別する。

ここまでは聞いて、ここまでは受け流す、そのような基準を設けておくことで、自分の判断がブレなくなる。

それに、アドバイスはアドバイス。最後は自分で決めなければいけない。

挫折が人を嫉妬にむかわせる(P192)

人が嫉妬心を呼び起こすのは、「自分が頑張ったけど手に入らなかったものを手にいれたもの」を持つ人。

頑張ったけど上手くいかなかった、手に入らなかった。このような挫折体験が、人を嫉妬へ向かわせる。持つ人が妬ましい、羨ましい。

それを明確な態度で示すことができないため、持つものを攻撃し、引きずり降ろそうとする。

嫉妬する人の根本には、人は皆同じであって、だからこそ自分が持っていないものを持つものが憎い、許せないというルサンチマンがある。

人生はもともと不平等

人生ハッピーな人もいれば、不幸が連続するツイてない人もいる。善人が幸せになるわけでなく、悪人が不幸になるわけでもない。世の中はそういうところ。

他人が語る幸福を信じること(P203)

「○○があれば、△△すれば幸せになれる」など、他人由来の価値観は移ろいやすく不確かなもの。世間の声に振り回されるかぎり、いつまでも幸せは見つからない。

「これが俺の人生で大切なことなんだ」という、自分の軸、判断基準を持つ。

「人は努力次第で何にでもなれる」は幻想(P209)

夢を見ることは自由。「何でもできる、何にでもなれる」と考えてもいい。

ただし、無限の可能性を人生の前提にするのではなく、できることとできないことを区別して、努力の方向を絞ることが大切。

人生のとばっちりについて(P217)

人生では突然とばっちり、ツイてない事が起こる。

短期でみればとばっちりは不運のトラブルだが、長い目で見れば、とばっちりが人生の転機につながっていることが分かる。

ツイてない突然のとばっちりは自分を変えるチャンスかもしれない。

流動性を高める(P223)

モノをたくさん持っても幸せになれない。大切なのは身軽さ、動きやすさ。

人は、背負うものが多いほど、生きにくくなる。「これがなくても生きていける」という状態であればあるほど、自由にのびのび、生きていける。

本当に大切なもの、持つものと捨てるものを区別し、不要なものを背負わないこと。

感想など

非常に感銘を受けた本。

個人的に、いろいろ頑張ってきた物事が期待通りにいかず、「見切るべきが続けるべきか?」悩んでいたときだったので、この本に書かれていたことが、「ストン」と腑に落ちた感じでした。

何かを得たいと思ったとき、私たちは行動を起こします。

欲しいものがあるとき、ただ待っているだけでは手に入りません。だからこそ行動を起こし、努力をするわけですが、世の中には、手に入るものとそうでないものがあります。

頑張って手に入るものもあれば、頑張っても手に入らないものもあります。

努力してスンナリ上手くいくことがあれば、いくら頑張ってもダメなこともあります。

なぜそうなのか?

それは多分適正や個人のスペック、運、いろんな要因があると思います。ただ、結果で考えれば、「上手くいきやすいこと」と「上手くいきにくい」ことがあるのは事実だと思います。

そこで、何が上手くいきやすいくて、何が上手くいきにくいのかを考えて行動を起こさないと、「頑張って何も得られなかった・・・」と失望するハメになります。

すると心に余裕がなくなって、毎日が不幸で、悲惨なように思えてきます。

人生でも、

「○○という仕事をしているけど、頑張ってダメなら、△△へ転職すればいい」

という状態と、

「今の仕事をクビになったら、もう食べていけない・・・」

という状況に追い込まれている状態、想像すれば分かりやすいと思います。

だからこそ、努力の有効性、頑張ることのパワーを過信せず、どこか冷静に、「頑張っても上手くいくかな?」と冷静に考えることが大切だと思います。

人生には「オプション」をつけ、「これしかない」よりも、「あれもある」、そんな余裕を持っておきたいものです。

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