現代社会で、働くことが一番のストレスになる理由がこれ。
関谷大輝著『あなたの仕事、感情労働ですよね?』(花伝社)の読書感想です。
この本について
感情労働について分かりやすく説明している本。
今、現代人の大半が従事していると言われる感情労働。特徴は何なのか、仕事でどんな影響があるのか、この本で詳しく理解できます。
以下、本書の読書メモです。
はじめに(P33)
感情労働=仕事上の必要に応じて自分の感情をコントロールしなければ務まらない仕事。
具体的には、フライトアテンダントや教師、カウンセラー、看護師など、主に対人サービス系の職業がそれにあたる。
ただ現代では、どんな仕事も多かれ少なかれ、「感情を上手くコントロールしないとやっていけない」要素があるため、仕事をすることそれ自体、感情労働の要素がある。
感情をコントロールする3つの方法(P61)
感情をコントロールするには、
1・抑制
→抱いた感情を心の中で押し殺す。
2・気をそらす
→別のことに意識を向けたりして、その感情から意識をそらす。
3・認知的再評価
→感情そのものを考え直す。
この3つの方法がある。
感情を上手くコントロールすることで、私達は仕事中でも感情に流されず、必要な職務を遂行することができる。
表層演技とは(P77)
外から見える感情を演技する、これを表層演技と言う。実際は悲しいと感じているのに幸せそうに振る舞う。そうやって外から何を感じているか上手く誤魔化すことができる。
感情労働ではこの表層演技が必要不可欠。笑顔など、外見を「偽装」することで、相手にこちらの感情を悟られず、良い印象を与えることができる。
バーンアウトの症状(P107)
自分の感情を無理し、頑張りに頑張っているとやがてやってくるのがバーンアウト(燃え尽き症候群)。その主な特徴は次の通り。
1・情緒的消耗感
→気持ちが疲れ果てて、心が折れてしまった状態。
2・脱人格化
→人と関わること自体がイヤになり、人を人と思えなくなる状態。
3・達成感の減退
→仕事上の達成感、やりがいが失われ、仕事の良い面が見えなくなっていく状態。
感情は抑制しない(P164)
抑制された感情は心のどこかでくすぶる。
ネガティブな感情を抑圧するとますますネガティブになり、ポジティブな感情を抑圧すると、ポジティブな感情をどんどん感じにくくなる。
感情の抑制はそれ自体がストレスになる。だから本当は、感情は感じたとき、感じたまま受け入れるのが良い。
感想など
「感情労働」という言葉が気になって読んでみた本。
読後はなるほど、感情を抑制、コントロールして働くことがいかに大変か、分かった気がします。
確かに、人と関わる仕事の職業(対人職)は本当に大変だろうなぁと。
感情を上手くコントロールしてニコニコして愛想良くして接客することが求められているものの、実際にはイヤな客、腹が立つ客もいるだろうし、とても大変なことだと思います。
まぁでも、実際に愛想の悪い店員さんがいる店には通いたくないしお金も使いたくない。そう考えると、いろいろ難しいですね。
それにどんな仕事も結局は人と人で、仕事で一番難しいのはやっぱり人間関係。人間関係が仕事の一番の喜びにもなるけれど、一番の苦痛になる。
そういうものなのかもしれませんね。