今日咲き誇る花も、明日には枯れてしまう。『いまを生きる』を改めて観る

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自由な生き方は難しいが、「いま」を見失わなければ、人生は楽しむことができる。

ロビン・ウィリアムズ主演映画『いまを生きる』(1989年)の感想です。

この映画について

1950年代のアメリカ、とあるエリート学校。そこでは、学業を重視した詰め込み教育が行われており、生徒たちは名門大学を目指し、ストイックな日々を送っていた。

そんなある日、一風変わった若い英語教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)が赴任。型破りな授業で、生徒たちに「人生を楽しめ、今を生きるんだ」と人生を楽しむことを説く。

ジョン・キーティングの影響を受け、生徒たちは徐々に主体性を発揮し、自分たちの人生を生きようとするが・・・。

トレイラーはこちら

感想など

ともかく人生について考えさせられる映画です。

『いまを生きる』を初めて観たのは10代の頃。

映画に出てくる「その日を摘め」(Carpe diem)の詩や、抑圧から自由となろうとする生徒たちの行動力に感動したものですが、30代になってこの映画をもう1度観なおしてみると、人生を思い通りに生きることの難しさを考えさせられました。

以下ネタバレあり

映画に登場する生徒たちは真面目で頭の良い生徒たち。彼らがキーティングの影響を受け、思い切った行動を取るようになるのですが、その結果、ある生徒は自殺し、ある生徒は退学に。キーティングは教壇を去ります。

大人たちのいいなりの状態から、「自分」の意志を通そうと挫折した青年たちがそこにはいるわけですが、これは現実世界でも起こるい普遍的な現象です。

子どもだろうと大人だろうと、自分の思う通り、自由に生きようとすれば、そこに必ず問題が生じて、どこかで折り合いをつける場面が来ます。自分の意志や夢を追えば追うほど、状況が難しくなることも少なくありません。

いずれせよ、自分のしたいようにしようとすれば、周囲と軋轢や障害が生まれ、自分の行動に責任が発生し、その結果を負う必要があります。問題の克服なしに理想の人生はあり得ません

だからこそ、夢を追うこと、自分の理想の人生を送ろうとすることが難しいのかもしれません。言い換えれば、安定無難な人生を送りたいなら、自分の意志や願望など持たずに、周囲の言う通りの選択をした方がいいのかもしれません。

良い生活がしたければ、良い学校に入って安定した組織に就職すること。多くの人が言っていることですが、これにはやはり、それなりの根拠があるわけです。

ただし、このような選択が、人生に幸せをもたらすわけではありません。私たちの人生には限りがあり、人生でできることは限られているからです。

無難に選択をして、できることを我慢して、真面目に努力して学歴や良い就職先を手に入れることができれば、安定した人生を送れる可能性はあるものの、それを手に入れるまで、手に入れてからも、様々な妥協を強いられます。

そこでは、自分のしたいこと以前に、周囲の雰囲気に行動を制限されるため、自分のしたいことを我慢せざるを得なくなります。だから、社会的に成功しても、お金をたくさん稼いでも、良い家庭を築いても、幸せや意味を感じられない人が出てきます。

したいことを我慢して、妥協に妥協を重ね、世の中を生き抜いてきた。お金はあるものの、楽しいことが分からない。したいことがない。そういう人が、高齢になって、自分の人生を後悔するようになるのかもしれません。

人生の時間が有限であること

そう言えば、先日読んだ『僕のマーチン君』という本に、

「ずっと憧れていたマーティンのアコギを買おうか買うまいか迷っていたが、父親が死んで、人生には限りあることを思い知らされた。だから思い切ってマーティンのアコギを買った。」

ということが書かれていましたが、あることをきっかけに、人生の有限性を思い知らされることが多いと思います。

20代の頃したくてたまらなかったことができなくて、それが余裕で出来るようになった30代、実際にしてみると、体力がダメになったり興味が衰えて、思ったほど楽しめないことがあります。

人間の体は衰え、興味や関心も、放っておくとどんどん衰え、「面白い!」とワクワクする体験がどんどん減っていきます。

したいことを我慢しても、いつか、それはできるようになる。しかし、その楽しさや感覚は、昔ほどは味わえないかもしれない。できるチャンスも消えてしまうこともあります。

この意味で、「Seize the Day.(=いまをつかめ)」という言葉は、真実なんだと思います。

人生は限りがあって、喜びや楽しみも、それを楽しめるうちに楽しんでおかないと、それを楽しむことの素晴らしい感覚は失われてしまう。いまできることも、やがてはできなくなり、楽しめなくなってしまう。だから、楽しめるうちに、楽しめることはやる。

これが、後悔しない生き方の秘訣なのかもしれません。

追記

2014年8月12日、ロビン・ウィリアムズが重度のうつ病で自殺という、衝撃的なニュースが入ってきました。

『いまを生きる』を始め、『フック』や『ミセス・ダウト』、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』など、私が10代の頃夢中になった映画には、必ずロビン・ウィリアムズが出演していました。

特に、『フック』と『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』はお気に入りの映画で、もう30回以上観ています。

明るく前向き、観るものを勇気づけるキャラクターを演じることが多かったロビン・ウィリアムズですが、2000年以降は出演映画のキャラクターが変わってきます。

『ストーカー』や『ファイナル・カット』、『奇跡のシンフォニー』など、「影のあるキャラクターを演じることが多くなったな」と感じていましたが、まさか重度のうつ病を患っているとは・・・。

俳優業の成功の裏には、一般人には想像もできない、大きな苦悩があったのかもしれません。人生どうなるのか、本当に分かりませんよね。

ご冥福をお祈りします。

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