自己欺瞞の存在に気がつけば、見える世界が変わる。『自分の小さな「箱」から脱出する方法』の読書感想

自分の小さな「箱」から脱出する方法

人間関係のトラブルはすべて自分が原因?

アービンジャー・インスティチュート著『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(大和書房)の読書感想です。

内容について

私達は自分の心を閉ざして「箱の中に入ってしまう」(=状況が見えていない状態のこと。自己に固執したり自分をあざむくこと。)状態があって、その箱の存在に気がつき、視点を自由にして行動を柔軟にしていこう、という趣旨の本。

この本を読むことで、私達が陥りがちなセルフディフェンシブ思考の問題や、人間関係を良くするためのヒントを見つけることができます。

以下、本書の気になった内容の要約です。

「箱」に囚われること(P30)

自分には見えていない問題があり、それにとらわれてしまい、問題を自分の視点でしか見ることができない。これが箱に入っている状況。周りから遮断され、何も見えなくなっていること。

人間関係のポイント(P50~69)

相手が自分のことをどう思っているのかを感じること。ココが人間関係のポイント。

「相手にとって自分はどのような存在なのか、相手は私に敵対心を抱いていないか?」など、人はそれぞれ、人から自分がどのように見られているかを感じている。

そのため、こちらの態度や本心をキャッチし、それに応じた態度を取ってくる。問題なのは、こちらの外見上の態度ではなく、心の本心。こちらの本心に、相手は反応し、態度として表す。

相手のことを「イヤな奴だ」と心の奥で思っていると、相手は文字通り「イヤな奴」としてあなたの前に登場する。こちらが相手に対してどのように感じているのか、それは相手にも伝わっている。

自分への裏切り行為について(P109~169)

他の人に対してどうあるべきか、何をすべきかという感情に反する行為を、自分への裏切り行為と言う。一度自分への裏切り行為を働くと、自分の行動を正当化するようになり、考え方や行動も、自己正当化的になる。

すると、物事を正確に理解することが難しくなり、何事もバイアスがかかるようになる。現実を見る目が曇るため、「箱」の中に入ってしまう。

「箱」の中に入ってしまうと、偏ったバイアスで人をさばいてしまうため、人間関係が上手くいかなくなり、問題が起こってしまう。相手を攻めたり、喧嘩になってしまう。

問題なのは、「箱」に入り続けることによって、「箱」の中にいる状態が、自分の素の状態のように思えてしまう。自分が「箱」の中にいるため、他の人も自分の「箱」の中に入れようとし、ますます状況を悪くしてしまう。

「箱」の外に出るために(P205~265)

「箱」の外に出るために大切なのは、「相手のために何かをしたい」という気持ちを持つこと。相手にはそれぞれ感情があり、考え方があることを認め、相手の人間性を尊重する。それにより、自分の「箱」から抜け出し、視点が変わる。

それは、相手の行動を変えようとすることではなく、相手と張り合うことでもない。相手を変えようとしたり、張り合うことは、すなわち「箱」に入ること。人を責めず、自分自身が「箱」の外に出るように意識すること。

そのためには、

・完璧である必要はない。よりよくあろうとすればよし。

・人に「箱」の話をする必要はない。自分がその知識を活かせばいい。

・自分の「箱」を探すこと。

・自分が「箱」の中にいることがわかったとき、あきらめてはいけない。努力していけばいい。

・「箱」の中にいることを否定する必要はない。そこから抜けだし、他の人の役に立つよう、前進する努力を。

・自分が人の手助けをしているか、そこだけを気にかける。

などのポイントを、普段から意識しておく。

感想など

「箱に入る」という比喩をもとに、良い人間関係の在り方を探っていく本。内容は対話形式、平易な文体で書かれているので、スラスラ読むことができます。

人はそれぞれ「箱」に入ってしまうことによって、人間関係など様々な問題を引き起こしてしまうというのが本書の基本的な考え方ですが、土台には「すべての問題は100%自分が引き起こしている」的な考え方があるように思います。

この点、アメリカの自己啓発的な考え方が土台になりますので、「自分を変えて、状況を良くしていこう」と前向きなときは、この本を読んで、「箱」の存在をしっかり勉強しておくのが良いかもしれません。

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