帝国が滅びるのは必然?『新・ローマ帝国衰亡史』を読んだ感想

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新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)

塩野七生関連の本で、ローマ帝国に興味を持った私。

広大な領土を持ち、先進的な文明を築き上げたローマ帝国がなぜ繁栄し、そして栄え滅亡したのか。その謎を探ることは、諸行無常の世の中を生き抜く上で、何かヒントになるはず。

そこで読んだのがこちら。南川高志著『新・ローマ帝国衰亡史』。

偉大な帝国がなぜ滅びるのか、国が栄えて滅亡する、そこに法則はあるのか、国家とは何なのかを考える素晴らしい一冊でした。

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内容について

「ローマ帝国の滅亡は4世紀末のゲルマン民族の大移動によってローマ帝国内に蛮族が侵入、それによりローマ帝国は滅亡へ向かった」

という定説ではなく、

「ローマ帝国の辺境に着目し、帝国の衰亡原因がローマ帝国内の排除的・保守的論理で内部崩壊していった」

という新説を提示している本です。

つまり、ローマ帝国は外的なものではなく、内部の要因によって自ら崩壊していった、という説の本です。

曖昧さを持つローマ帝国を実体あるものとしたのは「ローマ人である」という故地に由来するアイデンティティであった。

アイデンティティなるものは本来、他と区別して成立する独自性を核としている。

にもかかわらず、最盛期のローマ帝国がこのアイデンティティの下で他者を排除するような偏狭な性格の国家とならなかったのは、それが持つ歴史と記憶ゆえであった。

〜中略〜

だが、そうしたローマ国家が、四世紀以降の経過の中で徐々に変質し、内なる他者を排除し始めた。

高まる外圧の下で、「ローマ人」は偏狭な差別と排除の論理の上に構築されたものとなり、ローマ社会の精神的な有様は変容して、最盛期のそれとはすっかり異なるものとなった。

P206

結果、ローマ人の自己理解・他者理解が変化してしまい、ローマ帝国自体が自壊していった、という結論になっています。

読んだ感想など

この本を読んで思ったのは、国=そこに暮らす人々の認識、アイデンティティと考えることができ、国とは何か、国を栄えさせ、滅亡させるものは何か、ということです。

今、日本でも「日本人とは何か?」など、日本国の有様を見直す動きが盛んですが、本書と内容がクロスして、興味深かったです。

日本だって、これからどうなるのか、誰にも分からない。先の見えない世界を生きるため、先人たちから学びたいものです。

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