なぜ「三つ子の魂百まで」が正しいのか?『子どもの脳を傷つける親たち』の読書感想

子どもの脳を傷つける親たち (NHK出版新書 523)

重要なのは体の傷より心の傷。

友田明美著『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書 523)の読書感想です。

この本について

ネグレクトなど親の虐待がいかに子どもの成長にとって悪影響なのか、脳科学研究をもとに分かりやすく説明している本。

子どもの健全な発達のために何が必要なのか。そして何をしてはいけないのか。子育てで知っておきたい話が満載の内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P11)

子どもの脳はストレスによって物理的に傷つく。

最初は300gしかない脳は、ゆっくり成長し、時間をかけて必要なことを学んでいく。その成長過程において、過剰なストレスを受けると、子どもの脳はその苦しみに適応しようと、自ら変形してしまう。

その結果、正常な発達ができず、子どもの人生に影響を及ぼす。そして、うつ病やキレやすさ、生き辛さ、人生の様々な困難の原因となる。

マルトリートメントについて(P14)

不適切な養育=マルトリートメント。

具体的には、言葉による脅し、威嚇、罵倒、無視やネグレクト、子どもの前での夫婦ゲンカなどが虐待にあたる。

日々、どんな家庭でもこれらのマルトリートメントが発生しないことはありえないが、問題になるのは強度と頻度。

日々の生活で頻繁にこれらのマルトリートメントが発生するとき、子どもの脳は傷つき、成長過程の脳が変形してしまうリスクがある。

子どもの発達障害について(P24)

子どもの発達障害はとかく先天的な原因で考えられがちだが、実は後天的な要素によっても発症するケースが多い。

その原因は親の不適切な養育態度であり、それが子どもの心を傷つけ、身体的・精神的成長を妨げてしまう。

体罰がいけない理由(P35)

マルトリートメントのなかでも最も明白で発見しやすいのが暴力。体罰という名のもと、子どもを力で罰するのはしつけではなく虐待。

指導的意味合いのある体罰だったとしても、子どもにとって大人に暴力を振るわれることは、とてつもなく大きい恐怖であり、トラウマの原因となる。

だからこそ、体罰はしてはいけない行為。

深刻な言葉のDV(P63)

子どもの脳を萎縮させるのは身体的DVで3%だが、言葉によるDVの場合、その6倍~7倍ものダメージを子どもの脳に与えることが分かっている。

暴力よりも、言葉による暴力の方が、子どもの脳に与える影響は大きい。体の傷は目に見えて発見しやすいが、心の傷は目に見えにくく、発見しにくい。

暴言、罵倒、皮肉や冷笑、目に見えにくいマルトリートメントにこそ、注意が必要。

マルトリートメントの影響度(P91)

子どもにとって、接する時間の長い母親の存在はとても重要。

子どもと接する時間が短い父親のマルトリートメントより、母親のマルトリートメントのダメージの方が大きい。

そして最悪なのは、両親がそろって子どもにマルトリートメントをすること。暴言の程度が深刻であり、かつ頻度が大きいほど、子どもの脳へのダメージは大きい。

意識したいコミュニケーション法(P182)

親や身近な大人が子どもに対して積極的に使いたい3つのコミュニケーション法。

1・子どもの言葉を繰り返す。

→「話を聞いて理解しているよ」ということを伝える。

2・行動を言葉にする。

→子どもに興味・関心を示す。

3・具体的に褒める。

→脅すより褒める方が、子どもが良い行動を増やす効果が高い。

逆に、子どもに対してして避けたいのは、

1・命令や指示

→「あれやれ」「これやれ」的な子どもから主導権や自発性を奪う発言。

2・不必要な質問

→子どもの行動を中断させたり、集中力を途切らす発言。

3・禁止や否定的表現

→「~はダメ」「~はしてはいけない」など否定や禁止表現。かえって子どもの否定行動を強める。

感想など

なぜ幼少期の子どもの養育環境が重要なのか、「三つ子の魂百まで」が重要なのかが理論的に分かる本。

キーワードは「脳」であり、子どもの脳が不適切な養育環境によってダメージを受け変化してしまうという、恐ろしい話が書かれています。

普通に健全に育った子どもは脳が健全に成長しているため、大人になってもつまづきにくくなりますが、幼少期の環境によって脳がダメージを受けて変形してしまった子どもは人生ハードモード。

脳が変形してしまっているがゆえに人生でつまづきやすく、様々な困難を抱えやすいというのが本書の話。

人には現実に適応しようとする柔軟性がありますが、目の前の苦しみから耐えようとして子どもの脳は変形してしまい、その影響が人生でずっと続いていく。

本書の話が本当であるなら、「人生は生まれで決まる」という考え方も、あながち否定できない話なのかもしれません。

こんな感じで、読後少し恐ろしい気分になった本でした。

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