「物事の本質を見極める」とはきっと、こういうことだと思う。
高田明著『髙田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていく』(日経BP社)の読書感想です。
『髙田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていく』について
ジャパネットたかたの高田明前社長が日本の伝統芸能である能の基礎を作った世阿弥の思想を分かりやすく伝えている本。
この本を読めば世阿弥の哲学が理解できるだけでなく、高田前社長の「伝える」能力の凄さが実感できる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
本当のライバル(P7)
人生において他人はライバルではない。本当のライバルは世界でただ一人。つまり、昨日の自分。
大切なのは昨日の自分よりも良い自分になること。他人と競争する必要なんてない。ただ、自分に打ち克ち、より良い自分を目指す。史上最高の自分を目指す。
それが一番大切なこと。
男時と女時(P26)
時勢には男時と女時という考え方がある。
男時とは、勝負時、自分に勢いがある時のこと。このときは押せ押せイケイケで、ガンガン前に出ていくべし。
一方、女時とは、自分の勢いが衰えている時のことで、この時期に積極的に仕掛けていくのはよくない。
人生は微差で決まる。ほんの小さな不運によって、人生が台無しになってしまう可能性がある。
自分の勢いが今どちらなのか。冷静に見極めること。
人生がうまくいかないとき(P34)
人生がうまくいかないときに大切なのは、過去でも未来でもなく、今現在意識を向けること。すなわち、今できることに全力を尽くすこと。
今に力を注いでいれば、やがて流れが変りだす。だから今このときに全てを注ぐ。
人間性>>>テクニック(P88)
仕事でも何でも、最後にものを言うのはテクニックよりも人間性。つまり己の人間力こそが、決定的に重要。
同じテクニックを使うにも、使う人の人間性によって効果は変わる。テクニックを追い求めることも大切だが、人間性を磨くことを忘れてはいけない。
発明はマネから生まれる(P105)
全ての始まりは模倣、つまりマネから始まる。気になる誰かから学び、真似る。そして新しい何かを習得していく。
これが進歩の王道。
感想など
高田社長の話は本当に分かりやすいな、と感動した本。
難しいことを難しく説明するのは誰だってできます。しかし、難しい話。大切なエッセンスを分かりやすく伝えること。
これは誰にもできることではありません。
この意味で、本書を読んでいると、世阿弥の良さ、その普遍的な教えが分かりやすく伝わってきます。そして、もっと世阿弥について、知りたくなります。
これぞまさしく、伝えている高田社長の凄さだと思います。そのことが本書を読んで、一番印象に残っています。