会話のパンチに暗記したい名句が満載。『悪の引用句辞典』の感想

悪の引用句辞典 - マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき (中公新書)

なぜ欧米の「できる人」は会話に引用が多いのか?それは西欧の引用文化は聖書読解の伝統から来ているそうで、適切な引用をできることが、西欧では重要なそう。

この本では、古今東西、様々な偉人、有名人たちの名句がまとめられています。

「愛国心は悪党の最後の隠れ蓑だ」(サミュエル・ジョンソン、P4)

「おまえの鼻が気にくわん」(デキムス・ユニウス・ユウェナリス、P34)

「世には馬鹿たるべく定められた人がいて、彼ら自身が進んで馬鹿なことをするだけでなく、運命そのものが否応なしに彼らに馬鹿なことをさせるのである」(ラ・ロシュフーコー、P42)

「共通の権力がないところには、法はなく、法がないところには、不正はない。強い力と欺瞞は、戦争においてふたつの主要な特性である」(トマス・ホッブス、P67)

という具合で、時代、ジャンルを問わない、様々な名句に出会えます。

「悪の」という形容詞がついていますが、実際は古今東西、様々な人物の引用を、人や愛、政治、経済などのテーマごとにまとめられている本です。

引用元の人物はカミュから中江兆民、漱石や鴎外などの小説家から、マキャベリやロック、ホッブスなど昔の思想家まで様々。この本で、たくさんの名句と出会えます。

気になったところ&抜粋と考察
・「正論は正論であるがゆえに常に敗れる運面にあるのだ。なぜなら、人間はフィジカルな要因からくる好悪の感情だけはどうにも克服できないからである」(P35)

→好き嫌いは人との関係を決定的にする。

・「文明社会で個人に対して力を行使するのが正当だといえるのはただひとつ、他人に危害が及ぶのを防ぐことを目的にする場合だけである」(P142)
→大麻や売春の問題。麻薬や売春は自分だけのこと。「自分の体をどう使おうが、人に迷惑をかけない!」という主張は有効か。そのことで、周りに影響し、他者に害が及ばないか。

・「政治家は毎日、毎時間、自分のうちに潜んでいる瑣末で、あまりにも人間臭い<敵>と戦い続けねばならないのです。この敵とは、ごくありふれた虚栄心で〜中略〜不倶戴天の敵なのです」(P172)
→人からよく見られたい、と願う代償は?

・「人間の本性の中にはひとつの傾向がある。謙譲心からか、たんなる弱さや無関心からかは知らないが、とにかくすべてを黙って堪えてしまう者がいると、人はこれ幸いと、なにもかもその人に堪えさせてしまい、自分は平然としているのである」(P214)
犠牲者は声をあげないかぎり犠牲者であり続ける。いじめを行うものは、反撃してこないものを生け贄にする。

感想など

本の構成ですが、引用+著者の解説、主張となっています。

amazonの解説には「シェイクスピアから吉本隆明まで古今東西の名句を紹介し、社会の深層と人間の本性を見抜くコツを伝授」とありますが、やや主張が偏っているところがあります(P191の引きこもりの話など)。

社会の深層、人間の本性を見抜くというよりは、こういう考え方があるのだ、くらいで読むと、モノの見方が広がりそうです。

この本で、名句を決め台詞として暗記、タイミングよく使えれば、ドヤ顔できるかも・・・!?

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