日本の大学の新しい模範となる?『なぜ、国際教養大学で人材は育つのか』を読んで

なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫)

独自のカリキュラムと高い就職実績で注目を集めているのが秋田で新設された公立校、国際教養大学。

新設校にも関わらず、東大京大レベルの入試難易度に加え、100%に近い学生の就職率を獲得している成功の理由は何なのか?

成功の理由を国際教養大学の学長が語った本がこちら。『なぜ、国際教養大学で人材は育つのか』です。

本気で国際的な大学を目指す

「国際」と名前のつく日本の大学で、本当に国際的な大学は少ないですが、国際教養大学は本気。

学生は大学の入学と同時に寮生活。外国人留学生とともに過ごします。加え、授業はオール英語。学生は朝から晩まで英語漬けの日々。進級も厳しいらしく、学生は勉強漬け。

そのためか、企業の人気も高く、就職率ほぼ100%という脅威の実績を残しています。受験難易度ランキングでも国際教養大学は東大京大に並ぶレベルになっているほどの人気ぶり。

その人気の理由の秘密は、国際教養大学独自の教育方針にあります。

英語をすべての基礎に

国際教養大学の方針の主な特徴は次の3点です。

・学生に実用的な英語力を習得させる。そのため、授業はすべて英語で行う。実用的な英語力とは、英字新聞を読め、CNNやBBCなどの放送を理解でき、聞いたニュースについて、自分はどう思うかを外人に英語で伝えられ、議論できる能力。

・教養を身につける。実利的な学問だけでなく、社会科学や哲学、芸術、文化論、様々な分野の学問に触れ、幅広い教養を身につける。(海外のエリートは教養を重んじる。国際教養大学は21世紀の日本のエリート要請大学に?)

・学生に1年間の海外留学の義務化させる。異文化への留学という試練に直面させ、乗り越えさせる。それによって異文化を理解し、国際的な視点を獲得できる。留学費用は、国際教養大学に授業料を納めることで、留学先の大学の授業料は免除される。

日本の大学では考えられないほど「ハード」な環境ですが、なぜ国際教養大学は学生をあえて厳しい環境に追いやるのでしょうか?

その理由を、中嶋学長は次のように述べています。

努力は人を裏切らない。そうやって一生懸命に勉強した学生は、高いコミュニケーション能力を持ったほんとうの英語力と、豊かな教養を身につけて卒業していきます。国際社会で、すぐにも活躍できる人材として社会に巣立っていくのです。」(P17)

楽な環境では人は伸びない。成長のため、しっかり負荷をかけて努力するのが大切、という学校の独自の理念が伝わってきます。

ストレート卒業は50%

「アホな学生、勉強しない学生は卒業させない」というのが国際教養大学の方針。進級に厳しい条件を課し、学生をとことん勉強させていく方針です。

そのため、基準を満たした良い成績を取らないと、学校のアドバイザーから「指導」が入ることもあるそう。ひどい場合は休学、退学勧告も受けることもあるそう。

よく、「日本の大学は入学が厳しく卒業が楽」と言われますが、国際教養大学は「入るのも難しくて、卒業するのも難しい」という新しいタイプの大学。

まぁ、せっかくの大学時代、「楽勝の講義」を受けて簡単に単位を取ってプラプラするより、ガンガン勉強した方がいいというのはまさにそうだと思います。

現状、日本の大学の多くが「勉強するところ」というよりは、「遊びに行くところ」になっているのが現状ではないでしょうか。

適当に講義に出て単位をとって卒業できるのが実情。聞くところによると、「授業崩壊」している講義はマレではなく、講義中ゲームをしている学生、ひどいところだとカップラーメンを食べている学生もいるよう。

適当に講義に登録しておけば、簡単に単位が取れる。普段はサークルやバイト。まさしく、「遊ばせるため」に大学に通い、そんな状態で高い学費を払って4年間遊ばせる意味があるのか、と疑問に感じます。

学生の品質保証?

「大卒」の価値が下落し、就職率が低下している現状、国際教養大学の就職率ほぼ100%というのはすごい数値です。

「うちは学生をとことん鍛えます。厳しい基準で学生を育てていますので、うちの大学の卒業生は優れた人材である保証付きです」という国際教養大学の方針だからこそ、企業は安心して学生を採用できるのかもしれません。

実際、今の就職難の時代にほぼすべての学生が就職できるという実績は、やはり無視できないものがあります。

「日本の大学なのに授業を英語だけで行う」という大学の教育方針はやや極端な気がしますが、それでも、学生をしっかり勉強させて、意識の高い人間を育てていく、という大学の姿勢は、刺激になるところが多いのではないでしょうか。

こんな独特の大学が、たくさん増えることで、学校の選択肢も増えて良いかもしれません。

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