家は絶対買わない方がいい?『「持ち家」という病』の読書感想

「持ち家」という病 不動産と日本人・「これまで」と「これから」の経済学

家を買うか、買わざるべきか。

井上明義著『「持ち家」という病 不動産と日本人・「これまで」と「これから」の経済学』(PHP研究所)の読書感想です。

この本について

家を買うかどうか迷っている方にとって目が覚める話が満載の本。これからの時代、家を買って所有するということはこんなリスクあり。

持ち家か賃貸か、損しないための客観的な情報を集めたい方には一読の価値がある一冊です。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P2)

一般的に、家=資産と考えられているが、それはとんでもない間違い。

資産というのは将来的にも価値があるものを指しているが、これからの時代、家が資産というのは幻想になる。

というのは、日本経済は人口減少によって衰退し、今後間違いなく住宅の需要が減少していくから。

家が資産となるのは、住宅の需要が増大している状況において。

それが望めないこれからの時代、一部の人気地域はのぞき、基本的に家の資産価値は減少していく。

この意味で、家を資産と考えて購入すると損する可能性が高い。

家を買うのは当然なのか(P19)

男性の間では特に根強いのが持ち家信仰。

「男は家を買ってこそ一人前」という認識があるが、それは今後、常識から非常識になっていく。

土地や建物の価格が下がっていく可能性が高い以上、安易に家を購入すれば、それが人生を縛る楔となるから。

中古が評価されない日本の市場(P24)

海外においては家を買う人が多いのは、中古住宅が一つの市場として価値を持っているから。

特に欧米では、中古だからといって住宅の価値が下がることはなく、場合によっては上昇することもある。

しかし日本においては新品主義が強く、中古住宅がその価値を上昇させることはめずらしい。

おまけに、日本では新品の住宅を買ったとたん、それは価値を下げ始め、20年後には0になる。

ここに、家を建てるリスクがある。

これから起こること(P103)

日本は今後ますます人口減少が進み、高齢化社会を迎える。

2025年以降、人口の3割が65歳以上の高齢者となり、介護や親の実家の処理など、現役世代には様々な負担がのしかかる。

その結果、街のコンパクト化が進み、コンパクトシティの内側にお金が流れるようになっていく。

一方、コンパクトシティの内側から外れてしまった土地は、ますます価値を失っていく。

この意味で郊外に新築を購入する場合は要注意。基本的に、住宅の価値を下がることを前提に検討した方がいい。

住宅ローンは新築派向け(P111)

「これから地価が下がって住宅の価値が下がるなら、ローンで中古を買う方がお得では?」と考えるのが自然だが、あいにく銀行は中古住宅購入に厳しい。

そのため月々のローン返済が新築購入よりも高くなってしまう。

新築と中古、それぞれローンを組むにしても、新築の方が月々のローン返済がお得になるので、新築を選ぶ人が多いのが実情。

→家を中古で売るときにネックになる。

柔軟性では賃貸一択(P224)

これからの時代は、昔の時代のように、安定して仕事ができ、お金が稼げる時代ではない。

転勤はもちろんのこと、突然のリストラなどのピンチも起こり得る。だからこそ大切なのは柔軟性。

この意味で毎月重い負担となる持ち家をローンで購入することは時代にそぐわない。

家族や子ども成長、仕事など、環境の変化に応じて賃貸で暮らす方が、柔軟に対処できる。

持ち家の自然災害リスク(P230)

家を買ったら買ったで絶対に安心できないのが自然災害。台風や地震など、災害によって家がダメージを食らうリスクは常に想定しておく必要がある。

家を買う場合は地価の問題だけでなく、自然災害に対するリスクを想定した上で、慎重に選ぶ必要がある。

高齢者の賃貸リスク(P267)

賃貸否定派の主張として必ず上がるのが、高齢者になると賃貸が借りられなくなるというリスクの話。

現状は確かに60代以上になると賃貸が借りられないリスクがあるが、今後その傾向は変わっていく。

高齢者にも賃貸を貸さないと業界的にやっていけない時代がやってくる。この意味で、将来の住宅を案じて今すぐ自分の家を買う必要はない。

感想など

簡潔にまとめると、「家は買うな、賃貸で暮らそう」という本。

本書では、嫌という程、家を買って所有することのリスクを読者に突きつけます。

そして損得においては間違いなく、持ち家を買うのはリスクが高いことを実感できます。

ただ個人的には家を買うのは損得だけでなくて、ライフスタイルの問題だと考えています。

例えば、今の時代、不便な田舎に家を買うのは間違いなくリスクであり、損をするかもしれません。

転勤や転職、結婚や子どもの成長など、環境の変化にも適応しにくいことでしょう。

早い話、人生を柔軟かつ安全に過ごすためには間違いなく、持ち家のローンなど、負担となる出費は避けた方が「得」です。

しかし、家を買うことで自分のライフスタイルを明確にし、理想の暮らしを実現する。そこにはプライスレスな価値があると信じています。

ということで、家を買うならそれを子孫に残すとか、資産価値がどうだとか、そういうことは考えない。

最悪、自分が死んだときにキレイに処分できればいい。子孫に負担にならない。そこさえ気をつければいいのではないかと思います。

どうせお金はあの世に持っていけません。賃貸にしろ何にしろ、暮らすための家にお金はかかります。

それならどうするのが自分にとって一番なのか。それを考えて賃貸か持ち家かを決断すればいい話だと思います。

ということで、持ち家を買うことに躊躇している方は一読して損がない本です。

家を買うことの現実的なリスクが明確に理解できるのはもちろん、自分がどうしたいのか。それを判断する材料になります。

そしてそこがきっと、お金のことよりも、一番大切な話だと思います。

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