子育ては江戸しぐさをお手本に。『三六九の子育て力』を読む

三六九の子育て力―大人になって困らない人を作る

子育てに大切なのは子どもの成長に応じて教えるべきことを教えること。

越川禮子著『三六九の子育て力―大人になって困らない人を作る』(ポプラ社)の読書感想です。

内容について

江戸時代の子育ての考え方、江戸しぐさをもとに子どもの育て方について考える本。

「子どもの養育には、子どもの発達段階に応じて教えるべきことがあるので、年齢ごとにこんなことに注意して子どもを育ていきましょう」という内容になっています。

以下、本書の気になった内容の要約です。

子育ての基本的な考え方(P13)

江戸の子ども養育は「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理」という考え方。子どもの成長段階に応じた、覚えさせるべきことがある。

三歳までは心を育み、六歳までは手取り足取り親の真似をさせ、九歳までには人様に失礼のないものの言い方を覚えさせ、十二歳には文章を書く力を習得させる。そして、十五歳までに物事の理屈やルールを理解させる。

三歳までに心を養育(P25)

「三つ子の魂百まで」という言葉通り、子どもが三歳になるまでにすべきことは、心を育てること。この時期は、知育よりも感性を育てさせることが重要。

親の姿が子どもの将来の姿に(P29)

子どもは親の言うとおりには育たない。親のした通りの姿になる。考え方、振る舞い、行動はすべて、親が子にした通りになる。

約束の大切さを教える(P37)

子どもに教えるべきは口から出た言葉に責任を取ることの大切さ。人との約束、自分が口にした言葉がどんな意味を持つのか、しっかり教える。

教育で大切なこと(P43)

教育で大切なのは、子どもの自立。子どもが自分で考え、自分で行動できる自立した人間にしてあげることこそ、最大の幸福。

本を常備する(P73)

子どもがいる場所に本を用意し、本を与えることが大切。文字を読める読めないは問題ではなく、いろんな本があること、文字に触れさせることに意味がある。

時間泥棒に育ててはいけない(P75)

人間関係で罪なことは、人の時間を奪うこと。時間は増やすことも貯めることもできない、貴重な資源。人の時間を無遠慮に奪うことは大罪に等しいということを、子どもに教える。

相手の都合も考えずアポなしで家に行ったり、約束の時間を守らなかったり、人の時間を奪う行為がいかに悪い行為かを子どもに教え、子どもを将来の時間泥棒にしてはいけない。

九歳以降は言葉に対する繊細な感覚を育てる(P115)

言って良いこと、言ってダメなこと、その区別を子どもに理解させる。「見たままのこと」や、「見て分かること」をそのまま口にしてはいけないなど、言葉に対する感覚を子どもに教える。

「知っていますか?」と口に出すのは無礼(P119)

相手を下に見るような傲慢なモノ言い、相手のプライドを傷つけるような口の聞き方はダメだということを、子どもに教える。

文字で読んで分かることに理由を問うのはナンセンス(P135)

子どもに「察する」力をつけさせることが大切。お店や公共の施設等での注意書きに書かれていること、禁止や注意されていることには理由があり、それを察することが大切だということを教える。

こんな言葉遣いを子どもにしてはいけない(P140)

「だからお前はダメなんだ」など、子どもの人格を否定するような言葉は、いくら冗談であっても言ってはいけない。感情を逆なでする言葉、人格否定の言葉、刺のある言葉を子どもに使ってはいけない。

もし、そのような言葉で子どもの心を傷つけていると、やがて子どもも、自分がされたように、同じように人を傷つける物言いをする大人になる。

子どもの言葉遣いが乱れた時は注意(P142)

言葉の乱れは生活の乱れ。子どもの言葉が下品になったり、乱暴になっているときは、生活が乱れているサイン。問題に素早く気がつくことが大切。

子どもが十五歳になったら(P148)

子どもが十五歳くらいになっていれば、その先も大体見える。

子どもの得手不得手、可能性のあることやないこと、予想ができるので、子どもの個性を尊重し、どの分野に進めば子どもが適性を発揮できるのか、冷静に見極める。

理屈なしにダメなことはダメと教える(P162)

卑怯な振る舞い、人にいじわるすること、ダメなことはダメと、説明なしに毅然と教えるべきことがある。それが将来の子どものためであり、やがて子どもも、それに気がつくときが来る。

いけないこと、ダメなことは、「ならぬものはならぬ」で問答無用で注意する。

感想など

古本屋巡りで見つけた一冊。

平易で分かりやすい文体で、江戸時代の子育ての考え方を現代に適用させた面白い本でした。心を育てることの大切さ、周囲の人の気持ちを察することの大切さ、言葉の大切さ、そしてしつけの大切さ。

人が育っていく過程で、何が大切で、何がダメなのか、この本を読むと、「昔の人はとてもスマートに子どもを育ていたのかもしれない」と想像してしまいます。

江戸の人のクールでスマート、そして「粋」な価値観によって江戸っ子が生まれ、日本人の行動規範が生まれたわけですが、先人から学び、粋な生き方をしたいものです。

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