『教師の資質』の読書感想 – できる教師、できない教師の違いとは

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教師の資質 できる教師とダメ教師は何が違うのか? (朝日新書)

これから教師を目指す人が知っておきたい教師の現実。

諸富祥彦著『教師の資質』(朝日新書)の読書感想です。

この本について

明治大学教授であり「教師を支える会」代表の諸富先生の教師論。

教師という仕事はどんな仕事なのか、今教師が抱えている現実的な問題とは何なのか、これからの教師はどうあるべきなのか、教師を目指す方必読の一冊となっています。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P4)

仕事量の増加、指導が難しいこども、理不尽にクレームをつけてくる親。

現代は教師受難の時代。仕事の苦労のため、働き続けるなか、心の健康を害してしまう教師も多い。教師として働くなら、相当な覚悟が必要。

教師の分類(P20)

公立私立問わず、教師には次の3タイプがいる。

1・力量の高い優秀な教師(20%)

2・得手不得手はあるが、総合的には一般的な力量がある教師(70%)

3・力量の低いダメ教師(10%)

一部にどうしもなくダメな教師がいるのも確かだが、大半の教師のレベルは低くなく、むしろ大半の教師は職務に専念する熱心な教師が多い。

ダメな教師の特徴(P24)

こどもの良いところをあげる前に悪いところだけをあげつらう。これがダメな教師の特徴。

人の気持ちが分かる教師なら、保護者と良い関係を作るため、こどもの良いところを探そうとする。

保護者に「この先生はうちのこどもの良いところを探そうとしてくれるんだ」という気持ちが伝えられる先生は、保護者と良い関係を築ける。教師としての力量も高い。

公立か私立か(P38)

子どもを価値観や育ちが違う多種多様な環境で育てたいと思うのであれば公立へ進ませる。

逆に、子どもを同じような価値観を共有できる環境で育てたいと思うのであれば私立へ進ませる。

教師の質については、公立私立の差はない。

教師が病む原因(P44)

教職は一般の職業に比べて病む可能性が高い仕事。その4つの原因がこれ。

1・多忙さ

2・学級経営、生徒指導の難しさ(=人間関係)

3・保護者対応の難しさ(=人間関係)

4・同僚や管理職との人間関係の難しさ(=人間関係)

人間関係がからむ仕事はどの仕事も大変だが、教師は仕事そのものが人間関係。だから普通の仕事よりも病む可能性が高い。

クレーマーの特徴(P68)

学校にクレームをつけてくるいわゆるモンスターペアレントの多くは自尊心が傷ついている。それによって生じる痛みや怒りを、クレームを出すというカタチで発散させている。

そのため、彼らに対しては正論で対応しようとしても時間のムダ。関係づくりが最優先であり、相手の話を聴くことに徹すること。

「この先生は信頼できる」と思ってもらうまで、粘り強く対応すること。

試し行為を見逃さない(P101)

こどもは常に、「この教師はどこまで許容するのか」ということを見ている。

ダメなこときちんとダメと言う。「ここからは絶対に許さない」という限度を示すことができる。そこに教師の力量が現れる。

いじめのないクラスとは(P125)

ルールが守られた秩序があるクラスでは、精神的に弱いこどもでも安心して学校に通うことができる。

安心できるクラスを作るためには、

1.人を傷つけることは言わない、しない。

2・クラスの誰かの発言は最後まで聞く。

この2つを徹底すること。

このルールが5月6月まできちんと守られているクラスは、その後もクラスが崩れることなく、安定した雰囲気を保つことができる。

ソリューション・フォーカスト・アプローチ(P140)

うまくいっていることはそのまま続ける。うまくいっていないことはやめて、何か違う行動をする。うまくいくまで、いろいろ試してみる。

教師として最も必要なこと(P162)

教師は人間関係のプロ。人間関係を楽しめない人、人と関わりたくない人は教師に向いていない。

どんな相手であっても信頼関係を築くことができる。それこそが、教師として最も必要なこと。

感想など

教師という仕事は本当に大変なんだな、ということが実感できる本。

世の中楽な仕事はありませんが、教師として働くということは、人間関係がからむ分、日々相当なストレスに圧迫されるのは間違いありません。

こどもに保護者、教師同士、人間関係で悩むこともたくさん。人相手の仕事は特に自分一人ではどうにもならないことが多いですからね。

おまけに今は、学校の「荒れ」の問題が深刻。

先日とある勉強会で知り合った人から聞いた話だと、札幌でもいわゆる教育環境の良いとされる人気の某学区の小学校でさえ、5~6人、授業中立ち歩いたりしてクラスをかき乱すこどもがいるそう。

そこに通うこどもたちのなかには、「あの子たちと同じ中学校に行きたくないから私立に行きたい」と言っている子もいるそう。

公立校でこどもが安心して学校生活を送れるかどうかは、もはや完全に運。

こんな現状を考えると、もしかしたら教育システムそのものに問題があるのではないか、もっと新しい制度に変えるタイミングではないか、そんなことを考えてしまいます。

つまりは、「教師として働くなら、相当な覚悟が必要である」という本書のメッセージこそが、まさに教育現場の実態を簡潔に示しているのかもしれません。

私もこの本を読んで、大学生の頃に教育実習先の校長先生から言われた言葉を思い出します。

「教師になるなら覚悟が必要だぞ。甘い気持ちで教師になるな」

教師を目指す方は、一読をおすすめします。

本はこちら
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