『誇大自己症候群』の読書感想 – 結局みんな、「自分だけは特別」だと思っている

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誇大自己症候群 あなたを脅かす暴君の正体 (朝日文庫)

元凶は自己愛。自己愛が人を動かし、人を狂わす。

岡田尊司著『誇大自己症候群 あなたを脅かす暴君の正体』(朝日文庫)の読書感想です。

この本について

トランプ現象や少年犯罪、モラハラ、DVなど様々な問題を誇大自己症候群というキーワードで分析する本。

誇大化した自己愛がいったいどのような問題を引き起こすのか、自己愛が人をどのように動かすのか、人間の本質を考察できる内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

境界性パーソナリティ障害と犯罪(P35)

境界性パーソナリティ障害を持つ犯罪者に共通しているのは現実感の希薄さ。

大きな事態を招くことが明らかなのに、それに対して驚くほど現実感がない。まるでアニメやゲームの世界のように考え、ファンタジーが現実と逆転する。

そして彼らには幼児的万能感が色濃く残っており、理想やプライドが異常に高く、自分が特別な存在であることを強く信じている。

そのため彼らは他者に対する共感性が乏しく、被害者の立場に立って物事を考えることができない。にも関わらず、自分自身はとても傷つきやすい。

些細なことでも敏感に感じて怒りを生じ、それを鎮めるために仕返しや復讐をする傾向がある。

母親と愛着(P59)

子どもが安定して成長していくためには、母親との愛着関係が必要不可欠。

ところが、何らかの原因で母親との愛着に問題が生じた子どもは、その状況に適応するため、人格育成の面で、様々な問題を抱えるようになる。

回避型愛着障害と誇大自己症候群(P143)

自我が誇大化する誇大自己症候群のベースには不安定な愛着がある。とのなかでも、回避型と呼ばれる愛着が薄いタイプが多い。

回避型は幼い頃、養育者からの応答や共感が不足したケースに多く、養育者の応答性の欠陥がある養育環境で育っている。

求めても満たされないものがやがてはそれを補う形で自我誇大化し、バランスの良い自己愛の成熟を難しくしている。

子どもを叱らないことの弊害(P153)

近年は子どもを叱らない教育が人気を集めているが、子どもを叱らなければ子どもの自己愛は増大するばかり。

叱って褒めて、その両方があってこそ、バランスの良い人格成長が期待できる。子どもを褒めてばかりではダメ。

親の自己愛を背負う子ども(P185)

親の誇大化した自己愛が子どもの人生を狂わす。

親は子どもを通じて自己の人生の失敗を取り返そうとするが、それによって子どもの人生が狂う危険がある。

子どもに何かを押し付けるとき、それは本当に子どものためなのか。それとも自分のエゴなのか。それをよくよく考えることが大切。

安全志向が未来を閉ざす(P204)

これからの日本社会は、高い学歴を持ち、高度な技術を持つ高収入者と、良い教育にあずかれなかった貧しい者が二分化される社会がやってくる。

学ぶ意欲を持ち、チャレンジ精神を持ってチャンスを追いかけていく者はますます富み、安全志向で現状維持を維持するだけの者は、どんどんジリ貧になっていく。

これからの時代、安全志向は自分の将来を守ってくれない。新しいことを学び、積極的に挑戦していく、リスクテイクの姿勢を持つことこそ、自らの道を拓くカギになる。

幸せになるということ(P274)

結局人は、人のなかでしか幸せを感じられない。

他者とのつながりが幸せをもたらし、他者とのつながりなくしては、どれだけ学力を得てもお金を得ても、幸せになることはできない。

幸福な人生を送りたいのであれば、人とのつながりを取り戻し、人との関係のなかで、幸せを見出すこと。

感想など

誇大自己症候群というキーワードで今の世の中を見ると、一見無関係な出来事に実にいろんな共通点があることが見えてくる本。

人はもともと自分が大切な生き物で、人の本質は究極的に自己愛。

それは当然のことだけれども、今の時代は私たちそれぞれの自己愛が誇大化しやすい状況になっていて、それが世の中のいろんな問題につながっているのかもしれない。

この本を読んでそんなことを思いましたが、ではどうやったら自己愛の誇大化を防ぎ、バランスを取り戻すことができるのか。

それを考えてみると、いろいろ考え込んでしまいました。

その答えは多分、人とのつながりを取り戻すことで、それは本書の最後でも書かれていますが、でもそここそが問題の本質。

人々の自己愛が誇大化する背景には、現代社会の孤独があって、

「みんな寂しい世の中だから人々の自己愛が誇大化してしまう」=「寂しい世の中に適応した形が自己愛の誇大化」

という本書の指摘は本当にそうなのかもしれないと思います。

今の世の中はいろいろ便利だけど、どこか寂しくて不自然。そういう時代かもしれないと、読後は少し複雑な気持ちになった本でした。

本はこちら
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