『モンスター』の読書感想 – 醜く生まれた女の、運命への復讐劇

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モンスター (幻冬舎文庫)

運命を変える、そのためなら何でもする。

百田尚樹著『モンスター』(幻冬舎文庫)の読書感想です。

あらすじ

瀬戸内海に面した古い町。そこにおしゃれなレストランがオープンした。

レストランを経営しているのは絶世の美女、未帆。彼女はかつてこの町で、醜い容姿からバケモノ扱いされた苦難の人生を歩んできた。

とある事件で町を追われることになった未帆は東京へ出て、美容整形と出会う。大金をかけて自分を完璧な美女に改造した未帆は、ある目的を果たすため、故郷の町へ戻ってきた・・・。

感想など

ともかくエグい小説。

読後は本当に後味が悪くて、スッキリするどころか、男の立場としては、非常に複雑な気持ちになってしまったのが正直な感想。

醜く生まれた女が、その醜さゆえに、人生でひどい仕打ちを受け、美容整形という手段によって醜さを克服、絶世の美女に生まれ変わり、過去への復讐を果たしていく。

この物語を要約するとこんな感じですが、主人公の未帆(和子)に復讐されていく男たちは、未帆の作り上げられた美貌に酔いしれて、誰もが同じ欲望を抱いています。

それを逆手に捉え、どの男も予定調和的、お約束なオチがまっています。まるで、夜の店の商売女に無駄金を貢がされている男のように、女の手のひらで踊らされている。そして最後には全てを失う。

この小説は女性が主人公ですが、登場する男たちが痛い。未帆の態度は、男が持つ単純で致命的な弱点をあざわらうかのようで、現実問題、この手の致命傷を受ける男は結構いるよなぁという感じ。

女の美貌と人生の不平等さがこの小説の根幹テーマなのかもしれませんが、個人的には、未帆によって転がされていく男たちの姿の方が哀れというか、悲しい。

美貌を手に入れた女に翻弄されてしまう男たち視点でこの物語を読むと、男が生まれながら持っている根源的な弱点というか、そういうものが容赦なく書かれていて、うーん、なかなかエグい。

ブサメン非モテだけど真面目、誠実さで未帆を射止めた大橋くんとか、若い頃からモテモテイケイケ、おまけに医者で金持ちの足森くんとか、男たちのHavingは違うものの、結局皆、同じ弱点を持っている

不運な人生を辿った未帆も悲しいけれど(外見で損得があるという現実)、未帆に翻弄されて自滅していく男たちの姿も悲しい。内容がエグいというかある意味リアルで、変な切実感があります。

先が気になって夢中になって読んでしまう面白い小説だけれども、読後は非常に後味がよろしくない。そんな小説でした。

本はこちら
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